ECBは本当に何も持っていない:ケネス・ロゴフ

ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授が、ユーロ圏の直面する厳しい政策上の限界を指摘している。
景気後退となれば、米国はもちろん日本よりも厳しい状況にさらされるという。


FRBの政策が『より長く、より低金利に』だとすれば、今のECBは『永遠により低金利に』に見える。
米国のようにインフレを完全に回復させるのに十分なツールを持ち合わせていない。

経済が振るわない中、金融緩和が常態化した欧州についてロゴフ教授がCNBCで語った。
教授は、現在ECBが用いている主たるツールがECBから民間セクターへの信用供与だと指摘。
リスク・テイクをともなうこうしたツールは本来規模を拡大させたくないものだという。

一方で、世界の景気後退への懸念が高まっている。
景気拡大や強気相場が10年近く続き、さすがにその勢いにも変化が見られる。

「ECBは景気後退を回避するために可能なかぎりあらゆることをしようとするだろう。
FRBも日銀も同じだ。」

景気後退のリスクが高まれば、その落ち込みが大きなものにならないよう対策を打つのが中央銀行の役割だ。
しかし、各国の金融政策には対策に十分なだけの緩和余地があるかどうかおぼつかない。
特に欧州は、金融政策だけでない事情がある。

みんな欧州に対して神経質だ。
様々な機関にまたがる取り決めのため、各国は財政政策というツールを持っているかどうかはっきりしない。
ECBは間違いなく行動する。
・・・しかし、ECBは本当に何も持っていない。

「本当に何も持っていない」と言った時、ロゴフ教授がシニカルに笑ったのが印象的だ。
元IMFチーフ・エコノミストの教授でも解決策を提示できないほど欧州は追い込まれているのだろう。
だからこそ、決して冷血漢ではない教授が無意識に笑ってしまったのだろう。


日欧が米国より強力な金融緩和を行っていることの米経済・金融政策への影響を尋ねられると、その良し悪しを説明している。

「一方で、日欧の経済成長は米国にもいいことだ。
輸出が増え、需要が増える。
その一方で、日欧の金融政策がより緩和的だとドル相場を押し上げる。
米国にとってはさほど怖いことではないが、いいことではない。」

良い点は貿易、悪い点は為替。
最近の貿易交渉の争点を思い起こさせる解説だ。

この良し悪しの中でFRBは何を考えているのか。
ロゴフ教授がFRBの本音を推測している。

FRBは今のところ、景気後退に陥ってしまうよりは、持続的期間インフレが2%をオーバーシュートしてしまう方がはるかにいいというスタンスなのだろう。
インフレのオーバーシュートはFRBの物価目標が上下対象であるとの信認を高めるだろう。
FRBはインフレ抑制のやり方は知っている。
景気後退になった時、FRBはツールを持っていると考えているのだろうが、本当のところは定かではない。

ロゴフ教授は以前から、ゼロ金利と量的緩和だけで十分な金融緩和効果が得られない場合に備え、マイナス金利政策の検討を促してきた。
そのため、高額紙幣の廃止マネーの電子化推進を提案している。


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