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CLOは第2のサブプライムになるか:ロバート・カプラン総裁
2019年12月3日

ダラス連銀のロバート・カプラン総裁が、足元の米経済が堅調であるとした上で、将来のリスクについて言及している。


私はそう考えている。
当面、現状の(金融)政策は正しい位置にあると考えている。

FRBのいう「サイクル中期の調整」は終了したのかとCNBCで問われ、カプラン総裁はYesと答えた。
米経済は順調で、来年も2%成長が見込まれるという。
足元の経済の堅調さに太鼓判を押す一方で、米経済が抱える構造問題については懸念も示している。

「成長率をもっと高めたいなら、金融政策以外の政策が必要だ。
金融政策は(構造問題には)対処できない。
インフラ支出が必要であり、移民政策の改革が必要であり、教育・能力訓練を改善する政策が必要だ。」

金融政策だけで経済回復を実現することはできないとアピールした形だ。
カプラン総裁は、現状のような歴史的低金利を継続することが「過剰と不均衡」を生む傾向がある点を認めている。
その過剰が心配されるのが社債市場だ。

米国の企業債務は史上最高水準で、BBB格の債務は過去10年で3倍になった。
レバレッジド・ローンとBB格・B格の債務は劇的に増大している。

社債市場への懸念についてはジェフリー・ガンドラック氏、スコット・マイナード氏、ポール・チューダー・ジョーンズ氏など高名な債券投資家・マクロ投資家が表明している。
次の景気後退期、注意を要する市場であるのは間違いない。

カプラン総裁は膨張する企業債務への注意を喚起する一方、これがサブプライム/リーマン危機での証券化商品の問題とは性質が異なると指摘した。
結果、問題化した場合の現れ方も異なると予想している。

「2008-09年の問題では貸し手のレバレッジが過大だったが、現在は借り手のレバレッジが高まっている。
私が心配するのは、成長が鈍化し停滞期になった時、莫大な債務が『増幅器』にならないかということだ。
私が増幅器といっているのは、キャッシュフローの多くが債務返済に充てられてしまうということだ。」

今回は貸し手の問題でないため、銀行システムが直接の打撃を受けることはないとの見方だ。
もちろん間接的な打撃はあろうが、よくも悪くもドット・フランク法により、銀行システムの保守性は高まっている。
一方で、企業がバランスシート調整を強いられるため、それが経済の停滞を下押しすると考えているのだ。

米企業債務の問題は対岸の火事ではない。
同債務はCLO(ローン担保証券、銀行ローンを束ねて証券を組成したもの)の形で日本の金融機関の投資先となっているからだ。
これが第2のサブプライム危機を引き起こすのではないかとの懸念の声が絶えない。

しかし、カプラン総裁は、次の問題の中心がCLOになるとは考えていないという。
先の金融危機でもCLOは問題化せず、総裁の分析では今後も「ほどほどにうまくいく」予想だという。
カプラン総裁のCLOに対する心配は別のところにある。

私が心配するのは、BBB格のクレジットが2-3ノッチ格下げになりBB格またはB格になり、信用スプレッドが急拡大し、金融環境の急速な引き締めにつながることだ。


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