CAPEは高いがいくらか株においておけ:ロバート・シラー

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、2013年のインタビュー記事についてツイートした。
今もそのメッセージが生きているという趣旨のツイートだ。


「株式市場は1881年まで遡ったデータを用いるとある程度予想可能だ。
・・・CAPEレシオは来年起こることをとてもうまく予想することはできない。
この指標は長期投資家のためのものなんだ。
・・・忍耐強い長期投資家にとっては、CAPEをバリューの指標に用いる意味があると考えている。」

シラー教授はいわゆるCAPEレシオの有効性について2013年、米個人投資家協会のインタビューで語っていた。
CAPEレシオは決してマーケット・タイミングを可能にしてくれるツールではないが、それでも予見力のある指標だとの主張だ。

当時のCAPEレシオは23.3倍と決して低い水準ではなかった。
しかし、だからといって株式投資に消極的になるのは早すぎるとシラー教授は示唆した。
株が高くても、他に良い投資先がなければ、株から完全に手を引くわけにはいかないからだ。
当時は米国もゼロ金利政策を続けていた時期だ。

「みんな株式にいくらか投資しておくべきだと思う。
どこかにお金をおいておかなければいけない。
CAPEレシオは高いが、とんでもなく高いわけではない。」

シラー教授は何も財産のすべてを株に投資しろと言っていたわけではない。
一部を株に投資しろと言っていただけだ。
株がまだ上昇する可能性があるため、そのアップサイドをすべてあきらめるべきではないと考えたのだろう。


シラー教授のこの推奨にはもう1つの観点があったものと思われる。
それは当時、米市場もまた金融抑圧の状況にあったという点だ。
教授は当時を「とても異常な金融の世界」と表現していた。

TIPS(物価連動国債)利回りがマイナスなのが奇妙だ。
これは、長期、10年において実質(物価調整後)ベースで無リスク・リターンを得られないことを意味するからだ。
・・・投資をして、無リスクにしたいと思ったら、損するのが確実に保証されているんだ。
これは価値保存の問題になる。

かつて(まともな国の)国債とは投資家に無リスクの投資先を提供し、購買力の向上を与えてくれるものだった。
まず(まともな国なら)デフォルトのリスクがない。
次に名目利回りはインフレ率より高いのが通常だった。
だから、国債を(償還まで)持っていれば、実質ベースで投資価値が増えると期待できた。
ところが、長く続いた非伝統的金融政策によって短期も長期も金利が大きく押し下げられた。
結果、国債の実質利回りは長期であってもマイナスになった。
このため、国債の保有者は、保有すればするほど購買力を失うことになったのだ。

米国の場合、今ではこの金融抑圧がかなり解消し、長期のTIPS利回りはプラスに転じている。
税引き後だといまだすれすれだが、改善は改善だ。

5月のシラーCAPEレシオは30.23倍と2013年当時より大きく上昇した。
ITバブルや大恐慌前に次いで3番目のピークを形成するレンジにある。
現状についてシラー教授は17日ツイートした。

米個人投資家協会が、2013年の私に対するインタビューを再掲載した。
そこで私は、CAPEは高いが『いくらか市場に』投資しておけとアドバイスしていた。
より不確かになったが、今にも当てはまる。


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