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米ドル 45歳アーリーリタイアのための貯蓄計画:CNBC
2021年3月16日

CNBCがアーリー・リタイアのための貯蓄計画を計算している。
最近関連する記事を載せたこともあり、アングルの異なるCNBCの計算結果も紹介しておこう。


CNBCの前提は次のとおり:

  • アーリー・リタイア後に不労所得を年4.5万ドル(約5百万円)得る。
  • 不労所得は蓄え(投資)から得るが、投資元本を取り崩さないで済むようにする。
  • 引退目標年齢: 45歳。
  • 現在の蓄え: ゼロ。
  • 投資リターン: 年4%。
  • インフレ、税金、他の年金等からの所得は無視する。

CNBCは米国で良く使われる「4%ルール」の趣旨を説明する。

「これは、毎年安心してポートフォリオの4%分を取り崩し、それでも投資が増える余地を残そうとする一般原則だ。」

年4%のリターンを得て、その分を支出に回す。
「4%ルール」による目の子計算が有効であるためには、投資リターンがそこそこ安定的に平均4%見込めることが条件になる。
もちろん、多くの人は特に引退後は分散投資するのだろうから、分散ポートフォリオに対して平均4%を確保しないといけない。
日本人が好きな、リスク資産への配分が小さなポートフォリオでは、長期安定的な平均4%のリターンはとても難しい。

さて、年リターン4%で年間4.5万ドルを稼ぐのに必要な蓄えは
4.5万ドル ÷ 4% = 112.5万ドル(約1.2億円)
になる。
(これは浜町SCIが言ってきた数字ともざっくりと擦りあう。)
では、この金額を引退時(45歳)までに蓄えるのに必要な月あたり貯蓄額はどうなるか。
CNBCの計算はこうだ(円換算はFP):

投資開始年齢 月あたり貯蓄 円換算(概算)
22歳 2,491ドル 27万円
25 3,067 33
30 4,571 50
35 7,640 83
40 16,969 185

今回も、何とも切ない計算結果が並んでいる。
就職してすぐに貯蓄を始めようにも、普通に自力で頑張っているサラリーマンなら、額面より多くの貯蓄が必要になる。
就職時すでに過酷な状況は、スタートが遅れるほどさらに過酷になっていく。
これはアメリカ人にとっても同じことだろう。
(アメリカ人の場合、学生ローンを使っている人も多く、そういう人はとても過酷だ。)

CNBCのメッセージは簡潔:

貯蓄は複利の力の活用を可能にする。
つまり、リターンを得るだけでなく、リターンに対するリターンも得ることができる。
今すぐ貯蓄を真剣に考えることが、後のアーリー・リタイアの第1歩だ。

以上は社会保障の話題ではなく、投資の話題である。
例によって、日本人にとってもう少し現実的な算数に読み替えた方がいいだろう。
ポイントは2つ:

  • 共稼ぎをしよう:
    上表の必要貯蓄額は、はっきり言って現実的でない。
    しかし、夫婦で共稼ぎを続ければ、状況は大きく異なってくる。
  • 年金は見込んでいい:
    不労所得4.5万ドルのうちのいくらかは年金で賄えるだろう。
    例えば、夫婦で年2万ドルほど年金収入があれば、この計算はかなり変化する。
    ただし、その場合も、年金支給年齢までは厳しい状況になる。

たとえば、年金で全体の1/4が賄え、共稼ぎで1人あたり負担を半分にするなら、25歳で月33万円の貯蓄というのは、1人12万円ほどの負担と読み替えられる。
依然として厳しい数字だが、可能性はゼロを超えたのではないか。
いずれにしても、45歳でのアーリー・リタイアとは、堅気のサラリーマンにとっては相当にハードルが高い。

最後に残った工夫は、CNBCが言うように、なるべく早く、ただし良いタイミングで始めることだろう。
このシミュレーションでは、分散ポートフォリオに対して4%リターンを想定している。
仕事をし収入があるうちは、分散などする必要はない。
日々の資金繰りは、労働による収入によって賄われることが大前提だからだ。
余資については、良いタイミングで正しいリスク資産に目いっぱい投資しておくことができる。
(もちろん、タイミングや資産の選択が正しくできればの話だ。)

ジェレミー・シーゲル教授は、引退後のシミュレーションから、ポートフォリオにおける債券の割合を増やしすぎると老後破綻の確率が高まる場合があると言っている。
しかし、それは引退後の話であり、現役時代の話ではない。
現役時代は、リスク/リターンが良好であることを前提に、儲かると思う資産に投資すればよい。
分散が必要ない分、想定リターンは4%より改善する可能性もある。
そうなれば、CNBCの計算結果も大きく異なるものになるかもしれない。


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