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2022年末-23年にかけ1ドル130円へ:榊原英資氏

ミスター円こと榊原英資 元財務官は、米経済の強さを背景に、年末から来年にかけ1ドル130円まで円安ドル高が進む可能性があると話している。


米経済の回復力は引き続き強いと考えられるので、22年末から23年にかけて1ドル=130円程度まで円安・ドル高が進む可能性がある

榊原氏が日本経済新聞インタビューで、今年の為替相場予想を求められた。
日米の経済の強さの差を背景に、円安ドル高を予想するという。

榊原氏は1年ほど前までは円高を予想していた。
1ドル100円に向けてゆっくりと円高ドル安が進行するとの予想だった。
それが今回は「可能性」とはいえ130円への円安ドル高予想となった。
米経済の回復、さらに言及こそしていないが米金融政策の変化が、同氏の予想を大きく変えたのだろう。

1ドル130円という水準は2002年頃の水準であり、かなり昔の話になる。
アベノミクス以降でいえば、2015年頃に125円ほどまで円安が進んだことがある。
この時は黒田日銀総裁が、円安にはデメリットもある点を説明し、ストップがかかった。
市場は、それ以上の円安が良くないものであり、政府・日銀もそれを望まないことを感じ取ったのだろう。
当時の円安は異次元緩和によるところが大きいと思われていたから、市場が従順にしたがうのももっともなことだった。

榊原氏は、日本経済全体にとっての円安のメリットは薄れてきており、むしろ「強い円は日本の国益だ」とすべき状況に変わってきたという。
「成長のエンジン」は輸出や製造業だけでなく、サービス業の生産性向上・海外展開を後押しすべきとし、その目的では円高が有利だという。

2011年(震災の年)以降、財務省は為替介入を行っていない。
その間に円安が進行した一因が金融緩和であることは公然の秘密だ。
だから円高を求める場合、金融政策の変更をともなう可能性が高いが、これはやや難問だ。
経済や財政にも影響を及ぼすためだ。
通貨安が問題化すると通貨高の問題よりはるかにやっかいになることを暗示している。
通貨高はいわば《贅沢な悩み》だが、通貨安は《切迫した苦しみ》になりうる。

榊原氏も「金融緩和は経済成長にとって望ましい」点を認めているが、それでも円を強くする政策に転換すべきと主張している。
同氏が心配する「過度な円安」は1ドル120円超だという。
かつてローレンス・サマーズ氏とともに急激な円高ドル安の是正を実現したミスター円は、以前から単独介入の効果が小さいと指摘している。

米国の政策をみると引き続きドル高を志向しており、介入という手段での円安是正は困難だろう。
・・・口先介入は実際に為替介入を実施して相場が動いた後なら効くが、口先だけでは見透かされるため、あまり効果がない

介入だけでは不十分なら金融政策でとなるのか。
(もっとも、大きく円安が進めば、日本のインフレ事情に変化があってもおかしくない。)
榊原氏の後に財務官を務めた日銀総裁の胸の内はどうなっているだろう。


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