海外経済

2022年には財政出動の反動が来る:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックスのヤン・ハチウス氏が、28日のFOMCの結果を解説し、テイパリングと利上げの時期を予想した。


「結局FRBは来年初めまでテイパリングを行わないだろう。
しかし、コミュニケーションのプロセスは進むはず。
今は明らかに何もシグナルを送りたくないし、話し合うと話したくないし、考えていると考えたくもないということだろう。」

ハチウス氏がCNBCで、28日のFOMCの結果を解説した。

パウエル議長は、経済・雇用に改善が進んでいるとする一方、政策については現状維持を続けた。
特に、金融緩和の出口については、議論するのも尚早としている。

ハチウス氏は、こうしたスタンスを通常の手続きと説明する。
年後半には、徐々にシグナルを発し始めると予想する。
実際のテイパリングの時期は、今年の第4四半期もありうるが、来年初めが最も可能性が高いという。

米国を二分しているインフレ論議について、ハチウス氏はFRBの見方に賛成している。

私たちはFRBとかなり似たパターンを考えている。
コアPCEは4月に2.4-2.5%まで上昇するが、その後年末までに2.0%程度に低下するだろう。

ハチウス氏は理由として

  • ベース効果: 一時的
  • 経済再始動: 一時的
  • 医療費など他の要因: 徐々に無くなっていく

と分析した。

インフレが基調的に上昇するかどうかは神のみぞ知るような話かもしれない。
ただ、論点はかなりはっきりしてきたようだ。
供給サイドの要因、コスト・プッシュを重く見る人はインフレを予想し、重く見ない人は一過性と予想している。

ハチウス氏は、足元のインフレが一過性と見ている。
この金融政策へのインプリケーションは明らかだ。

年末までに2%と予想しており、こうした環境では、FRBはしばらくテイパリングをせずにおくだろう。
利上げのシグナルもなく、とても楽観的な経済成長見通しにもかかわらず、利上げは2024年初めまでないだろう。

ハチウス氏は、バイデン政権の財政政策についてもコメントしている。
今後議論が進むインフラ支出について

  • 規模は大きいが10年間の数字
  • 増税もセット

である点を強調し、過去の政策ほどの効果が望めないと予想した。

2022年には財政政策が経済成長にマイナスの反動を及ぼすと考えている。
このため、経済成長の局面が今年の急激なペースからかなり大きく鈍化するだろう。
これも、FRBが出口まで時間をとる理由の1つだろう。

ハチウス氏の解説は投資家に2つの疑問を生じさせたはずだ。
1つ目は、テイパリングが市場に悪影響を及ぼすのか。
前回のテイパリングは2014年1-10月。

S&P 500(青、左)とFRBバランスシート(赤、右)
S&P 500(青、左)とFRBバランスシート(赤、右)

テイパリングが進むにしたがいFRBバランスシートは拡大しなくなっていく。
その間、株価が著しい悪影響を受けたようには見えない。
では、長期金利はどう動いたのか。

米10年債利回り(青)と10年の期待インフレ率(赤)
米10年債利回り(青)と10年の期待インフレ率(赤)

テイパリングの間、長期金利は上昇でなく低下した。
これは株価にとって追い風だったはずだ。
そして、当然のことだが、長期金利の動きはそこそこ期待インフレの動きと同期している。
やはり、期待インフレ、その先にある実際のインフレは重要な要因だ。

もう1つの投資家の疑問とは何か。
それは、異例の規模・内容の財政政策の反動がどのようなものになるかだろう。
軍事戦争にお金を投じたわけではなく、社会活動の停止への対処に大金が投じられた。
実体経済と金融市場がいくらでも乖離しうることはみんなよく知っている。
大きな実体経済の反動を、金融市場はどう消化していくのだろう。


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