投資

2021年株式見通し:ロバート・シラーvsジェレミー・シーゲル
2020年12月22日

ロバート・シラー教授とジェレミー・シーゲル教授が、長期的な投資戦略について語っている。


(シラー教授)
これはあまり人を鼓舞するようなメッセージではないが・・・分散しろ。
国際的に分散しろ。

シラー教授がウォートン・ビジネス・ラジオで話している。
シーゲル教授から、長期的なポートフォリオについての推奨を求められて話したものだ。
シラー教授は、外国投資をオーバーウェイトすべきと答えている。
これまで米国株が最良の投資先と信じてきた投資家に再考を促すものだ。
実は、これは米国株に強気を貫いてきたシーゲル教授も唱えてきたことだ。

2人はMITの大学院生の時代からの友人。
バックボーンとする経済学は異なるが、両教授とも実証を重んじる点で似たところがある。

シーゲル教授は、テクノロジー株に対するシラー教授の見方を尋ねている。
シラー教授は、自身が運用に関与しているバークレイズのファンドで、テクノロジー株にも投資していると明かしている。

(シラー教授)
このセクターは20年平均と比べるとCAPEがまだ低い。
だから情報テクノロジー・セクターに投資している。
でも、私はこれをバリュー投資と考えているんだ。

CAPEレシオを見て割安と考えたから投資している。
だからバリュー投資となる。
これが重要な疑問を呼び起こす。

(シーゲル教授)
これは質問なんだが、現状のようにセクターが定義されているとして、テスラはどのセクターに属するの?

この疑問はセクターやファクターを考える上で重要なポイントだ。
そもそも世の中でいわれている定義が適切であるとは限らない。
アマゾンは一般消費財(Consumer Discretionary)セクターだが、投資家のイメージに合致しているだろうか。
テスラがS&P 500に組み込まれれば、新規組み入れとしては超大型の銘柄となり、しかもボラティリティが極めて大きい。
組み入れられたセクターの数字の持つ意味が希薄にならないだろうか。

(シーゲル教授)
もう1つ長年指摘しながら注目されないのが、国際銘柄という考え方。
本社がどこにあるかとされており、その会社がどこで売り買いしているかではない。

確かに、これもポートフォリオの構成要素の属性を管理する上で重要な観点だろう。
海外事業が極めて大きい日本の製造業などを日本のエクスポージャーとして分類すべきか、と考えてみればイメージしやすい。

最後に、2021年の市場展望を求められると、シーゲル教授はブレることなく強気予想を語っている。

ブームが拡大し、インフレが進む。
だから、2021年はPERは20倍前後、実質ベースで4.5-5.0%の上昇を予想している。・・・
ボブ(シラー教授)が言ったように、債券よりははるかに良い。
米国債は今後2-3年、最悪の資産クラスとなるだろう。
ボブ、どう思う?

シラー教授は最近「超過CAPE利回り」という指標から長期の期待リターンを推測している。
実質で3%超という予想であり、長期債利回りを5%弱上回るとしている。
期待値の水準では、シーゲル教授と同様、株式>債券なのだ。
しかし、シラー教授の表現のしかたはシーゲル教授のそれとはかなり異なっている。

(シラー教授)
政治状況に暗雲がたちこめている。
選挙における詐欺・盗みに対する怒り。
その点で現実と切断されてしまっている。
信頼の喪失。
その上に、みんなが、市場が割高と考えている。
みんな、1929年のようなクラッシュも可能性として考えている。

流動性相場のナラティブは強力だ。
理論や先例もある程度それを支持している。
しかし、経済・市場にはプラス方向の要因だけでなくマイナス方向の要因も多くある。
しかも、先例のないマイナス要素が存在する。
それを見損なってはいけないとシラー教授は諭している。

(シラー教授)
今来るというわけではないが、病気や状況を勘案すると、再びボラティリティが高まるか、株式の崩壊も起こりうる。
それを心配しすぎてはいないが・・・私たちが(株式)リターンを3%、5%と議論する時、それは確実なものじゃない。
・・・たくさんの不確実性のあるものなんだ。
今は大きな不確実性が存在している。

この潜在的なマイナス要素の存在について《永遠のブル》もすかさず同意している。

(シーゲル教授)
そうだ、たくさんの不確実性がある。

強気・弱気というのはつくづく表現のしかたなのだと感じられる。
実証を重んじる2人の教授の間にそれほど大きな現状認識の差はないのだろう。

シーゲル教授は来年のリターンを実質4.5-5.0%と予想している。
名目で7%ぐらいだろうか。
米国株で名目7%を果たして強気と呼ぶべきなのか。
シーゲル教授は債券との比較において強気のレトリックを続けているのだろうが、それを知らない人は誤解しかねない。

だからこそ定点観測が重要になる。
筋の通った予想をする人の表現がどう変化するか。
これを見極めないと、表面的なナラティブに踊らされかねないだろう。


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