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ハワード・マークス 2021年の投資戦略:ハワード・マークス
2021年3月24日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が月初に、今年の投資戦略について書いていたので、見直しておこう。


インフレは近いうちに脅威になるのだろうか?
答は明らかだ: 誰にもわからない。

マークス氏が「Memo」で、インフレの脅威について自問し、不可知と自答している。
インフレの脅威は、経済回復や経済政策と並んで、目下の強気相場の重要な構成要素だ。
それについてマークス氏は不可知と考えている。

最近の市場を見る限り、かなりコンセンサスや心理が片方に傾いたように見える。
リスク資産に対して強気のスタンスが圧倒しているようだ。
なぜ市場はこれほどまでに片方の見方に傾いていられるのか。
市場がグルと崇める一人、マークス氏は不可知と言っているのに。

実際、マークス氏が不可知と書いたのはインフレだけではない。

  • FRBが金利を低位に維持する能力には限界があるのか?
    永遠に維持できる?
    長期金利も?
    インフレが上がっても?
    投資家はマイナス利回りの債券を買い続けるのか?
  • インフレを引き起こしうるものは何?
    ドルの信認低下・流通量増加が相対的価値を下げるか?
  • ドルは基軸通貨であり続け、米国は借金し続けられるのか?
    この問いに対する答えが「No」であるなら、何が起こるのか?

マークス氏はこれら自問に断定的な答を与えてはいない。
しかし、総じて現状が長い目で見て持続可能ではないとのニュアンスを滲ませている。
つまり、将来は確定的ではないが、少し危ないかもしれない、といった感じだ。
だから、資産価格への見方もそれにならったものになる。

両方に議論が存在するが、ほとんどの資産の価格はグレー・ゾーンにあると感じている:
もちろん低くはなく、ほとんどがフェア・バリューの高めのところにあるが、不合理というほど高くもない。

  • 株式: 株式リスクプレミアムは過去20年平均の300 bpと同水準。
  • クレジット: ハイイールドの国債に対するスプレッドは過去の水準より小さいが、クレジット損失を打ち消すには十分の大きさ。

マークス氏は、ハイイールド債の価格が「他のほとんどの資産と同様、絶対的には高く、相対的にはフェアっぽい」と書いている。
つまり、ほとんどの資産価格がフェア・バリューにあるという場合、それは絶対的な意味ではない。
米国債などリスクフリー資産の低利回り(=高価格)と比べた相対的なフェア・バリューなのだ。
これこそ、多くの投資家・エコノミストが、今般のバブルの所在の中心が債券市場(とりわけ国債市場)にあると指摘するゆえんだ。

こうした投資環境では、マークス氏は、通常のスタンスから少し防御寄りのスタンスを取るのが適切だろうと書いている。
リスクテイクに対する報酬は少なめで、金利上昇のリスクも勘案しなければならないからだ。
マークス氏は、インフレや金利上昇が予想できなくても、準備はしなければならないと説く。

これが意味するのはおそらく
(a) 10年を大きく超える期限の債券は明らかにアンダーウェイト候補
(b) 変動金利債、家賃引き上げが可能な不動産、価格転嫁の能力や急速な利益成長の可能性を持つ会社の株式
であろう。

マークス氏は、低リターンの環境で高リターンを得る方法を2つ挙げている。
ベータを増やす、つまり、より多くのリスクを増やすか、ベータを増やさないでリターンを上げる努力をするかだ。
しかし、多くの投資家がベータを高めた結果、市場の期待リターンが下がってしまった。
このやり方で(リスク調整後)リターンを上げるには、マーケット・タイミングを的中させ続けなければいけないが、そんな幸運をつかむのはほんの一握りの投資家だけだろう。
ベータを高めず、アルファを取りに行く戦略もありうるが、成否は運用者の能力によるため、運用者リスクを取ることになる。

投資の不可避の真実は変わらぬままだ:
投資家が安全に堅実に高リターンを得られるような魔法の答も、(卓越した能力以外の)解決策も存在しない。
今日の低リターンの世界ではなおさらのことだ。


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