資産運用の世界最大手ブラックロックのマイク・パイル氏が、2021年に向けて、米国株、ファクター、日本株、新興国市場などについて同社のスタンスを説明している。
たくさんの人たちが株式ほかのリスク資産にかなり前向きな背景を感じ取っている。
1つの理由は、中期的に持続的な投資テーマの1つ、私たちがニュー・ノミナルと呼んでいるものだ。
パイル氏がCNBCで、2021年に向けたポートフォリオのフレームワークについて話している。
ブラックロックは最近発表した2021年の世界見通しの中で「新たな投資の秩序」の到来を指摘しており、今回もそれにそった内容だ。
パイル氏はニュー・ノーマルならぬニュー・ノミナルと呼ぶ概念について説明する。
インフレ期待が堅調にもかかわらず、金利がレンジ内で推移するだろうという考えだ。
私たちは、インフレの先行きについて中期的にFRBがうまくやる可能性が高いと考えている。
これが意味するのは、実質金利はさらに深くマイナスとなり、割引率がさらに低下するということだ。
債券に投資しても実質利回りがマイナスになるのなら、少しでも利回りの高いもの、せめてインフレに勝てるものにと考えるのは当然。
こうした状況が、中期的なホライズンで投資家をリスク資産に前向きにさせている。
ただし、人々が前向きなのはもっぱら投資についてだ。
パイル氏は、経済やウィルス対策ではまだしばらく厳しい状況が続くと予想している。
「今後数か月、経済・研究・症例・財政刺激策・一線を越えることについては、かなり重大な試練を迎えるだろう。
しかし、市場はある程度それを越えた、ワクチンがもたらす来年の回復を見据えているようだ。」
株式市場は先を読む生き物だ。
先に明るい光が見える、あるいは可能性があるから、さっさと先に上がっている。
市場の見方が正しい保証はないが、市場は正しいかどうかではなく多数決で決まる。
投資をする限り、その不条理を避けては通れない。
パイル氏は2021年にかけて投資家が努めるべきことを端的に述べた。
これは、2021年に入るとワクチンがもたらす再始動による強力な上昇気流が起こるとの認識なんだ。
同時に、趨勢的な追い風も存在する。
それにもうまく乗ることが必要だ。
いくつか異なる種類の波にうまく乗るのはやはり容易ではない。
そのため、パイル氏は主に株式についてバーベル・アプローチを奨めている。
- バーベルの片側: テクノロジーとクォリティ。これまでも好パフォーマンスだった。
- もう片側: ワクチン導入の恩恵を受ける循環株(米小型株、ハイイールド、幅広い新興国)。
- 避けるべき: 構造的な試練にあるバリュー、欧州、日本。
パイル氏は「うまく乗る」ための検討ポイントを繰り返す。
私たちはリスク資産に前向きであり、問題はどこでリスクを取るかだ。
今年のコロナ・ショックから解き放たれる追い風という観点から、特にどこに前向きになるか。・・・
重要なのは、循環の波に乗り趨勢的な追い風を受けるものを選別することだ。