資産運用の世界最大手ブラックロックのリック・リーダー氏が、2019年残りの投資テーマを5つ挙げている。
同社は先月にも年後半のための3アイデアを説いていたが、それとはかなり異なる切り口の議論がなされており興味深い。
リーダー氏が自社ブログで挙げた5つのテーマとは:
- 「利回りの枯渇が利回り商品を支える」
高まる利回り商品への需要に対して十分な利回りを与える商品が枯渇している。
「したがって、私たちは可能な場合、慎重にインカムとキャッシュフローを購入している。
一方、質の低い資産は避け、いくつかの資産の流動性プレミアムに気を配るようにしている。」 - 「成長の難題が欧州につきまとう」
- 「世界同期的金融緩和の日が昇る」
FRB利下げで喜ぶ地域もある。
「その筆頭が、自国通貨防衛の必要性のために苦しい金融引き締めを強いられた新興国市場の国々だ。」 - 「インフレはどっちだ?」
どちらかといえばディスインフレだろう。 - 「新興国市場に慎重に取り組むため、市場ボラティリティを活用しろ」
銘柄をよく選別した上で新興国市場の資産に取り組め。
「新興国市場の資産はしばしば世界同期的緩和政策におけるスイート・スポットになる。」
こうした5つのテーマについての考察から、次のような戦略の調整を行っているという。
- 米クレジット資産: 流動性が高くリスクが限定的なセクターとクレジットのみに集中。
- 新興国市場: 実質金利低下と通貨高の二重の追い風を見込んでいるため、現地通貨建てのデュレーションに置き換え。
- 欧州株: 米ドル建てにスワップして投資。配当利回りがよく、金融緩和の恩恵も見込まれる。
- 米国株: コール・オプションがとても安く、アップサイド・ポテンシャルを取れる。
- デュレーション(米国債): ヘッジを目的に中期のデュレーション。
リーダー氏はブラックロックのグローバル・フィクスト・インカムのCIOだが、ここでの推奨は幅広い分野に及んでいる。
なかなかトリッキーなものが多く、想像を掻き立てられる。
さまざまなトリックの理由を解き明かそうと努力する投資家には、投資のヒントを与えてくれるかもしれない。