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2人のビルが債券のベアからブルに転じた理由は・・・ベア
2023年10月24日

これまで米国債に弱気の見方を示していた2人の著名投資家が、相次いでスタンス変更を明かしている。
ざっくり債券と捉えるのでなく、中身まで理解しておこう。


年内の景気後退入りを予想:ビル・グロス

地銀大虐殺や、自動車ローン延滞が最近長期的高水準まで上昇したことが、米経済の大幅な減速を示している。
第4四半期にも景気後退となろう。

グロス氏が昨日ツイートした。
同氏は現在最良の投資先として株式の裁定を挙げた他、地銀への再参入を検討中という。

一方、債券についてはカーブの変化に賭けることを奨めている。

「2年と10年、2年と5年など多くの組み合わせがあろう。
年末までにプラス(注:長短逆転の解消)になるはず。
私はSFR h5(担保付翌日物調達金利先物)を買っている。
『より長くより高く』は過去の教えだ。」

グロス氏が言いたいのは経験則通り。
イールドカーブの長短逆転が解消しつつあり、グロス氏は年末までに解消すると予想する。
これは景気後退の先行指標であり、グロス氏は景気後退がやってくると予想する。
したがって、金利、特に短期金利は上昇から低下に転じる可能性が高くなる。
債券の買い時が近づきつつあるが、一方でインフレも決して低くはない。
だから、イールドカーブのどこか1点を買うのでなく、2点の相対的な差に賭けるべきと言っているのだ。
(そう言いながら、本人は翌日物を買っている。)

グロス氏は7月のInvestment Outlookで米国債への弱気予想(長期金利上昇予想)を述べた。
その後、米長期金利はじりじりと上昇、一時5%をつける場面もあった。
今月初めには、急激な金利上昇について「少し売られすぎ」とコメントしていた。
昨日のツイートは長短での濃淡はあるが、景気後退を予想して債券に対する強気(ブル・スティープニング)への転換を示したものだろう。

データより速い経済減速:ビル・アックマン

もう1人、最近債券に弱気の意向を示していたのがパーシング・スクエアのビル・アックマン氏だ。
同氏が昨日、債券ショートのポジションを閉じたとツイートした。

債券ショートを閉じた。
現状の長期金利で債券ショートを維持するには、世界にはあまりにも多くのリスクが存在する。
最近のデータが示唆するより速く経済は減速している。

アックマン氏は8月上旬に、30年債利回り上昇に対するヘッジを行っていると明かしていた。
先月下旬にもそのポジションを継続しているとツイートし、金利やインフレの水準上昇を予想する理由を挙げていた。
長期・超長期のゾーンで金利は上昇したから、このマクロ・ヘッジは大きく収益貢献したはずだ。

アックマン氏の行動は単純明快だ。
インフレや高成長から金利上昇を予想していたが、景気の悪化により反転する可能性が高まったというものだろう。
ヘッジに用いた30年金利については、当面は上昇するより低下する確率の方が大きいと見ているのだ。

ベテランが1人、また1人と冬ごもりの準備を始め出したようだ。


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