2つの市場の自己実現的な予言:ロバート・シラー

ロバート・シラー教授が2つの市場の経験則について語っている。
1つは債券市場、もう1つは住宅市場だ。


1970年以前は、それについて実質的に全く関心が払われていなかった。
まれに言及される時でも、景気後退と関連づけるものではなかった。

徹底的な実証研究で有名なシラー教授が英The Telegraphに、市場が怯えるイールド・カーブ長短逆転の歴史をレクチャーしている。
教授によれば、1970年までは意識されていなかったイールド・カーブ逆転だったが、その後、景気後退の先ぶれとして語られるようになると、景気後退の度に必ず関連が意識されるようになった。
実際、景気後退の前には必ずイールド・カーブ逆転が起こってきた。
シラー教授によれば、イールド・カーブ逆転の後に景気後退が来るという考えは「どんどん大きくなる自己実現的な予言」なのだという。

イールド・カーブ逆転と景気後退の関係にはいくつも説明がなされている。
いずれもそれらしい説明にはなっているし、おそらくある程度正しいのだろう。
しかし、定量的な信頼性まで含めれば、いずれの説明も確たるものではない。
そもそも、両者の関係が因果関係なのか、同じ原因を有する別のイベントなのかも定かでない。


シラー教授は、両者の関係をあえて人々の心理面に求めている。
両者の関係の理論的説明はともかくとして、人々がそれを信じている以上、実現してしまう可能性があるということだ。

不吉な兆候は債券市場(イールド・カーブ)だけではない。
2012年以降上昇を続けてきた住宅市場でも鈍化の兆しが見えつつあるという。

これと同じ光景を見たことがある。
2005年と似ている。
当時、住宅価格はまだ上昇していたが、鈍化しつつあった。

2005年と言えば、サブプライム危機の2年前。
今から2年後と言えば、大統領選が終わった夏・秋ごろだろうか。

シラー教授は、住宅価格が大きく変調する可能性を否定しない。

「来年・再来年に住宅価格がいくらか下落しても全然驚かない。
もしも実現すれば、大きな下落を呼びうる。
そうしたことはこれまで何度も起こってきたんだ。」

なんという皮肉。
債券市場については、イールド・カーブにかかわる市場の大騒ぎを「自己実現的な予言」として警告したシラー教授。
その教授が、住宅市場については自ら「自己実現的な予言」を述べているように見える。


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