ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、将来、米国が選択を迫られる2つのドアの先について語っている。
米国がMMTやヘリコプターマネーに向かっているかについては・・・限定的に1960年代からやっている。
福祉とは、良い狙いだがただでお金を配る限定的な政策なんだ。
ブッシュ(Jr.)大統領が世界金融危機への対処でただのお金を配った。
今も行われているが、誰もそれに言及さえしない。
ガンドラック氏がFOX Businessで、閉塞感のある米社会に打開策を与えるために何をすべきか、MMTやヘリコプターマネーか、と尋ねられて答えた。
同氏はこのインタビューで米社会の現在・将来について25分間しゃべり続けている。
興味深い点が満載だが、ここでは経済寄りの部分を紹介しよう。
ガンドラック氏は、コロナ前から続いている社会保障、コロナ・ショックでさらに増えた給付金などがもたらす将来について語る。
米国では157兆ドルの未積立の負担が連邦政府・消費者・企業にある。
157兆ドルだ。
これはGDPの750%にあたる。
現在は20%の財政赤字だ。
政府は15%と言っているが、それは都合よく一時要因等を除いたものだが、実際は20%だ。
莫大な政府債務と財政赤字。
日本とも共通する課題だ。
米国がやや深刻なのは、民間部門に貯蓄がないこと。
やや有利なのは(少なくともこれまでは)海外から投資を受けられてきたことだ。
157兆ドルを返すには、3世代にわたって毎年GDPの10%分の不況に耐えなければならない。
それは起こらない。
もちろん負担のすべてを返済(または積立)する必要はなかろう。
しかし、半分だけ返すにしても、経済に悲惨な影響が及ぶはずだ。
だから、通常の意味での《返済》は起こらない。
債務に依存した成長に先食いの性格があることを考えると、恩恵を受けてきた世代の罪は重い。
ガンドラック氏は、これに対処するには「2つのドアしかない」と語る。
日本のバラエティ番組ならば、2つのドアの先にはいずれも泥水のプールが待っているのが定番だが、米国の未来はどうなのだろう。
負担をリストラする。
つまり、年金等の受給年齢を引き上げ、受給要件を引き上げ、全体も引き締める。
あるいは、インフレを通して負担を減価するしかない。
やっぱりそうだった。
長い目で見れば、世の中フリー・ランチはない。