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1998-2000年に似ている:マーク・ファーバー
2019年12月15日

スイス人著名投資家マーク・ファーバー氏が、次の景気後退で起こりうるシナリオを予想している。


今の米市場は1998-2000年に似ている。
一部の銘柄が指数を押し上げており、とても少数の銘柄なのに指数を押し上げている。
多くは大型株だ。

ファーバー氏がThis Week in Moneyで、長く続く米国株の強気相場の危うさを指摘した。
指数は上げているが、広がりがない。
張りぼての株価上昇なのではないかとの懸念がぬぐえない。

ファーバー氏は、牽引役ではないセクターに目を向ける。
出遅れたセクター、いわゆるバリュー株として、銀行、金属、鉱山、石油、石油関連サービス、食品、公共を挙げた。
出遅れた分、指数と比べて割高感がない。
ファーバー氏は、足元の強気相場が継続するかは、これらセクターが上昇を始めるか否かにかかっているとし、前2回のバブル崩壊を振り返った。。

「2006年にはこれが起こらなかった。
1999-2000年あたりにバリュー株は底を打ったが、NASDAQの牽引役が下がってしまった。」

サブプライム危機前には牽引役の交代が実現しなかった。
ドットコム・バブルでは牽引役の交代は起こったが、以前の牽引役が崩壊してしまった。
では、ドットコム・バブル後の新たな牽引役は、その役割を担ったのか。

「新たな牽引役は下げはしなかったが、良いパフォーマンスも上げなかった。
言い換えると、2002年以降牽引したセクターは主にコモディティ関連銘柄、石油や特に鉱山会社だった。
これらが上昇を始めるのは、弱気相場が底を打つまで待たなければいけなかった。」

新たな牽引役がその役割を果たしたのは、相場が下がりきってからだったのだ。

ファーバー氏は、銘柄選択が重要な時代に入ったと話す。
ある程度、市場全体の上昇が見込まれた時代から、同じセクターでもパフォーマンスに差が出る時代になりつつあるという。
また、相対的に落ち込んでいる欧州やアジアの株を買えば、相対的に良い結果になるだろうとも言っている。
ファーバー氏は、ドル安を予想しており、その点からも米国以外の市場が有利になるという。

ファーバー氏は、米国家債務の急増を心配している。

過去12か月、名目GDPはおよそ7,500億ドル増加した。
連邦政府債務は1.303兆ドル増えている。
・・・
私の考えでは、これは健全な状況ではない。
このことや別の理由で、長期的にドルの運命は暗い。

米国家債務の増え方はショッキングだし、様々な理由からドル安を予想する人は少なくない。
しかし、その際に問題となるのが他の選択肢だ。

「ドル安になれば、みんな『どの通貨が望ましいだろう』と自問するだろう。
私には3つしか望ましい通貨が見当たらない: 金、銀、プラチナだ。」

ファーバー氏は、ドルが他のどの通貨に対して弱くなるかはわからないという。
ただ、金・銀・プラチナに対しては弱くなると予想している。

ファーバー氏によれば、他国の通貨は米ドルよりはいいかもしれないが、たいして良くないのだという。
その中で、相対的な意味でカナダ・ドルも有望と見ているという。
カナダは家計の債務が高水準であり、低成長しか見込めないとしながら、貴金属資源、米国より価格水準が割安、米国が国際社会で敬遠されているなどの理由から推奨できるという。

ファーバー氏は、景気後退がやってくれば過酷なものになり、長く続くだろうと予想する。
そこに至るまで、何が起こるかを想定している。

FRBは過去2年に量的引き締めを行った分すべてを半年未満で逆戻りしてしまうだろう。
そして、景気後退が起こりうる。
同時にドル安になる。
その時、量的緩和のために資産市場はさほど悪化しないかもしれない。
債券市場は打撃を受けるか、良いパフォーマンスにならない。
おそらく株式は大きくは下がらない。
しかし、ドルは下がる。

2020年の米経済は、決して景気後退・インフレ上昇の可能性がないわけではないとファーバー氏はいう。

「食品の価格がとても低く、これが上昇する可能性がある。
賃金が上がる。
ドルが弱くなる。
これらがインフレ圧力になる。
だから、もしかしたら金融引き締めをすべき状況になるかもしれないが、経済が弱いためにFRBはそうしないだろう。」

ファーバー氏の予想に一貫しているのは、拡張的な金融・財政政策が継続するということだ。
問題は、それが経済・市場を支え続けられるか、どの市場が恩恵を受けるかだ。
資産クラス別コメントにそれが表れている。

  • 貴金属: いくらか日が当たる。
  • 株式: すでに高値圏。大きな下向きのボラティリティ。
  • フィクスト・インカム: ほとんどリターンはない。

ファーバー氏は従来、保有資産を1/4ずつ分散するのを基本としてきた。
しかし、今、従来の基本スタンスをよりディフェンスな方へと変更している。

私の推奨は、通常でない大きな現金のポジションを持つことだ。
あなたも知っているように、私の資産配分は25%が株式、25%が債券・現金、25%が貴金属、25%が不動産だ。
債券と株式から現金へ回し、全体に占める現金の割合を20%にするといいだろう。


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