海外経済

ウォール街 1970年代型インフレ懸念は行き過ぎ:ムーディーズ

格付会社ムーディーズが、市場で高まっている米物価上昇リスクへの懸念について行き過ぎとコメントしている。


今のところ、物価上昇は事業活動を不安定化するリスクを生むような軌道を辿っておらず、FRBはコモディティ価格上昇の加速を重大視する必要はないだろう。

ムーディーズが18日付週次市場見通しで、市場で広がっているインフレ懸念が行きすぎであると示唆した。

ワクチン接種が開始し、日々経済の再稼働を見通しやすくなっている。
当然意識されるのが、異例の規模の金融・財政刺激策の効果だ。
これまでパンデミックで顕在化されなかった分、一気に経済が過熱し、インフレが高まるのではないか。
それを裏付けるかのように、コモディティ価格は顕著な上昇を見せている。
インフレが上昇すれば名目金利が上昇するのではないか、中央銀行が利上げに踏み切るのではないか、との心配も当然だ。

ムーディーズは、実体経済から来る物価上昇の厄介さを3つ挙げている。

  • 物価上昇が行きすぎれば、個人所得の上昇を上回り、企業利益率を圧迫し、悪影響を受ける企業でレイオフが起こり、金利上昇で信用状態から影響を受ける住宅などの財への支出が減る。
  • 将来の人件費等のコストを見積もるのが困難になり、企業が設備投資を先送りする懸念。
  • インフレ期待が上昇しすぎれば、国内生産の国際競争力が低下し、ドル相場に「望まない下落圧力」が及び、金融政策は緩和的でなくなる。

こうしたリスクを認識した上で、ムーディーズは、市場の懸念が行きすぎと考えているようだ。

今のところ、1970年代に経験した物価上昇の加速のような懸念は行きすぎのように見える。

理由として、高齢化や新興国との競争が物価上昇を起こりにくくしていると述べている。
ところが、その直後には逆のメッセージととれるようなことも書いている。

今日のグローバル化した米経済を考えれば、ドル為替相場の制御されていない低下は、米物価インフレの破壊的上昇の引き金を引く可能性がある。

なんとも歯切れの悪い書きぶりだ。
しかも、結果として浮き上がる2つのシナリオのコントラストがなんとも著しい。
ムーディーズはこの節の中で2度《心配は行き過ぎ》と述べた。
その両方で「今のところ」と添えている。
それほどインフレ予想とは難しい。
今後もしばらく市場の注目の的であり続けるのだろう。


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