早川英男氏:旺盛な設備投資があだに

元日銀理事の早川英男氏が、「近年まれにみる強さ」の国内設備投資に危機感を呈している。
景気後退入りはそう遠くなく、そうなれば過剰設備となり傷口を大きくすると心配した。


来年か再来年のどこかが景気転換期と考えるのが自然だ。

早川氏がBloombergに語った。
同氏が景気のピークが近いと考える理由はいくつもある。

  • 来年10月の消費増税
  • 2020年夏でのオリンピック終了
  • 米経済のピーク・アウト:「20年くらいが危ない」

景気後退が数年後に見えてきた今、設備投資は極めて強い。
9月の日銀短観によれば、2018年度の設備投資額(前年度比)は

  • 大企業: +13.4%(2017年度は+4.1%)
  • 全規模合計: +8.5%(同+4.4%)

大企業を中心に極めて積極的な設備投資が計画されている。
早川氏は、景気後退直前の設備投資が過剰設備となりやすいとし、失敗は「ほぼ間違いないと説明した。」

7月の日銀「展望レポート」では、設備投資の循環を示す「資本ストック循環図」が掲載されなかった。
この図は、設備投資が図中で時計回りに循環することを示すものだが、あまりの強さに図がいびつになったものと推測される。
早川氏の推測はこうだ。

「異常に強いので将来大きく落ちることを意味する絵になったはずだ。
掲載すると具合が悪いので削ったのだろう。」

真相は日銀だけが知っている。
いや、日銀も知らないのかもしれない。
循環図が循環を続けるなら、大きなセットバックが待っていることになる。
ただし、趨勢的にサイクルがシフトした可能性もゼロではない。
問題は、その変化をもたらすものが何かだ。
オリンピックも終わり、米国の好景気もピークアウトした時、サイクルのシフトを支えるものは何だろう。


時期はいつであれ、経済にはいつか後退期がやってくる。
日米ともにかなりの刺激策を講じてきたから、それなりの反動も覚悟しなければならないだろう。
では、その時、日本は何ができるのか。

「最大の問題は景気後退が来た時、何ができるかだが、金融政策は手がない。」

大統領に執拗になじられながらもFRBは金融政策正常化を進めている。
それでも次の景気後退期までに政策金利の利下げ余地を十分に稼げないと心配されている。
一方、日本の短期の政策金利はすでに-0.1%、長期側は0%。
景気後退の中でさらに利下げをすれば、金融システムはさらに傷むだろう。
そこに不良債権が発生すればどうなるのか。

「たくさんの銀行で簡単に赤字になる。」
「金融システムに対する信頼感がかなり揺らぐ可能性があり、日銀の責任だと言われる。」

別に日銀が悪いわけではなかろうに。
しいて責任を問わなければならないならば、その対象は政治任用された人たちだろう。

日米が景気後退入りした場合、早川氏は日米金利差が縮小すると予想する。
米国には金利引き下げ余地があるが、日本にはないからだ。
そのため「常識的に考えると相当円高になる」と解説する。
これまで円安水準が続いてきた反動が起こりうるからだ。

(ドル円は)80円台くらいになっても全然おかしくない。

東短リサーチの加藤出氏は次の景気後退期について日本経済がピンチになった時に円高になる可能性が高い点を心配している。


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