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12月FOMCでテーパリング加速へ:ジェレミー・シーゲル

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授は、今後の物価統計がインフレ持続を決定的なものとし、12月のFOMCでFRBがテーパリングのペースを速めると予想した。


「PPIは予想どおりだったが、個人(の物価)を示すCPIは予想を大きく上回った。・・・
もはや一過性との議論は成り立たない。」

シーゲル教授がウォートン・ビジネス・ラジオで、10月の物価統計についてコメントした。
10日発表の米CPIは前年同月比6.2%上昇、コア指数は同4.6%上昇だった。
それぞれ1990年10月、1991年8月以来の高水準。

「今日発表の消費者信頼感指数は10年来の低水準だ。
人々が心配しているのはインフレだ。・・・
これがとても大きな政治的な圧力となり、FRBは(金融政策正常化の)ペースを早めざるをえないだろう。」

12日発表の11月のミシガン大学消費者信頼感指数は66.8と市場予想(72.4)を大きく下回り、2011年11月以来の低水準だった。
消費者の1/4がインフレを懸念事項に挙げ、政策への不満を述べたという。

キャスターは、バイデン大統領の反論について質問している。
今回のインフラ投資が一部のインフレを緩和するという主張だ。
これが笑いを誘った。

「長い目で見てインフラ(投資)は必要だ。
でも、今後6-12か月でその効果が表れることはないだろう。」

シーゲル教授はインフラ投資を支持しているが、短期的にいえばプラスにもマイナスにもならないとの考えだ。
もちろん小さなところで政治がやれることはあるのだろうが、抜本的に手当てをするならインフレの原因に戻らざるをえない。

大統領にできることはとても少ない。
FRBが過剰なお金をシステムに供給したんだ。
このインフレを止められるのはFRBだけだ。

本来、政府が大規模な財政支出を行っても、中央銀行が資金供給(国債買入れによるマネタイゼーション)を行わなければ、そうはインフレ的にはならない。
クラウディング・アウトが起こり、金融が引き締まるためだ。
その意味でクラウディング・アウトは厄介なものでもあるが、視点を変えれば、経済が均衡に回帰しようとするメカニズムともいえる。
ところが、財政・金融政策が協調を始めると、このメカニズムが失われ、インフレ的になる。
リフレが必要とされるような低インフレなら良いことだが、インフレが目標をオーバーシュートすれば問題になる。
(もちろん、金融政策でなく財政政策を引き締めることでもインフレを抑える効果があろうが、政治的にその可能性はありそうにないし、すでに多くのお金がシステムに出てしまった。)

シーゲル教授は、インフレがまだ継続すると予想し、1つの要因である労働市場についてコメントしている。

「現在は、労働者が労働市場で活動的になる上で素晴らしい時期だ。・・・
労働者がさかんに行動しているのは、インフレに追いつくためだ。」

突如襲ったインフレが実質賃金の伸びをマイナスに陥れた。
今の勤め先にい続けるなら賃金は実質的に目減りする。
転職すればサインアップ・ボーナスを得ることができるかもしれない。
転職のチャンスも多くあるし、労使交渉で強く出るべきだ。
企業の側からすれば、さばき切れない需要がある。
ボーナスでも賃上げでもして人を確保したい。
そして、コスト上昇を売価に転嫁し、それでまたインフレが進む。

シーゲル教授は、賃金とインフレのスパイラルが2022-23年も続くと予想している。
教授は今後しばらくインフレが落ち着くとは考えていない。

12月2週に出てくる11月(物価統計)は何もいいものは出てこないだろうし、12月15日のFOMCで認めざるをえないだろう。
FOMCでは、前回FOMCで公表したより速いテーパリングが公表される可能性がとても高い。

シーゲル教授は最近、12月のFOMCの結果を受けて米国株市場が調整すると予想している。


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