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1.0-1.5%のFF金利で経済は壊れる:ジェフリー・ガンドラック
2021年12月9日

ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏は、債券市場が嗅ぎ付ける不吉な兆候を解説し、米市場・ドル相場の悪化に備えた投資戦略を紹介している。


利上げがどんどん低くなるレジームに経済が甘んじた、つまり数十年前ほど金利が上昇しなかった過去40年のパターンは続くだろう。

ガンドラック氏が7日のウェブキャストで、超長期の金利低下局面が(短期金利において)継続すると予想した。

実効FF金利
実効FF金利

米短期金利はインフレの種がまかれた1960年代、インフレが猛威を振るった1970年代と上昇し、ボルカー・ショックにおいてピークを迎えた。
インフレを抑えるには、短期金利が20%を超えるような荒療治が必要だった。
そこからは低下局面を迎えた。
幸いインフレは深刻ではなかったから、市場や財政を支えるために利上げが最小限に抑えられてきた。
前回は2018年12月に2.5%まで利上げが進んだが、市場が癇癪を起こし、半年後には利下げへの転換を強いられた。

ガンドラック氏は今回の利上げサイクルについて予想している。

したがって、わずか数回のFRB利上げで経済は問題を抱えることになる。
おそらく4-8回ぐらいだろう。
おそらくFF金利が1.0-1.5%で経済は壊れるだろう。

ガンドラック氏は(株式市場はともかく)債券市場は将来の経済悪化を感知し始めていると話す。
実質金利が大きくマイナスにあること、イールドカーブがフラットなことがその表れだ。
ガンドラック氏のメインシナリオは、経済悪化が2022年の後半から表面化するというものだ。

ガンドラック氏は以前から外国株、特に新興国市場株式に配分をシフトするアイデアを公言している。
すでに欧州株に少し投資したが、新興国市場株式はまだ早いという。
あらためてこのアイデアの根拠を話している。

  • (2006年以降)米国株(S&P 500)が外国株(MSCI World Ex US指数)を大きくアウトパフォーム。
    PERの差は7ポイント。
  • 米国株は新興国市場(MSCI Emerging Markets指数)も大きくアウトパフォーム。
    前回これほどの差が開いたのはドットコム・バブル期で、その後、逆に新興国市場がアウトパフォームした。
  • 新興国市場株式のCAPEは米国株の半分、通貨(JP Morgan Emerging Market Currency指数)も安い。
  • ドル高のモメンタムがまだ続いているように見える。
    長期では、双子の赤字によりドル安予想。

ガンドラック氏は、ドルが下落を始めると外国株が大幅にアウトパフォームするとのシナリオを思い描いている。
まだその時ではないとの判断だ。

債券王はイールドカーブについての識者のコメントに異を唱えている。
通常イールドカーブのフラット化・長短逆転は経済・市場に不吉な前兆とされてきた。
しかし、最近は、現状が特殊な状況だとして危険視しない議論が増えている。
ガンドラック氏は、楽観するのは真逆だという。

「こんなに金利が低いのにイールドカーブがフラットになるのは、高金利でフラットになるのに比べて倍のシグナルだ。
誰が実質利回りがマイナス4-6%の30年債なんて買いたがるものか。
経済の問題を予想するから、こんなマイナス実質利回りの債券を買っているんだ。」

インフレが5-6%まで高まっているのに名目利回り2%にも満たない超長期債が買われている。
これほどインフレのコストをかけてでもヘッジしなければいけないリスクがあるのだ。
(もちろん、外国勢の食欲も一因だ。)
このヘッジ需要こそ債券市場が不吉な将来を予想している表れなのだ。

債券投資は減点法の世界だから、弱気に振れるのは無理もない。
ガンドラック氏は投資家に対し用心を怠らないよう奨めている。
1つの注目点はハイイールド債市場とハイイールド・スプレッドだ。

投資家の皆さんにはハイイールド市場を注視することを奨める。
これは幅広いリスク資産にとって信頼性の高い『炭鉱のカナリア』だ。


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