日本銀行

1%の金利上昇でマイナス23.8兆円

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本質の議論が進まない

しかし、雨宮理事はこの問題を巧みにかわす。


「金利が上昇した時に、含み益・含み損とは別に日銀の収益が減少するのではないかとの観点から引き当てが十分かという質問の趣旨と解釈する。」

全くそうではない。
時価ベースで債務超過になりうることをどう考えているかが問われているのだ。
その先の雨宮理事の答弁はこうだった。

「量的緩和を実行している最中はバランスシートは拡大しているので収益は拡大する傾向にある。
一方で出口の局面では付利金利の引き上げによって収益が減少する傾向にある。
こうした収益の振れを平準化し財務の健全性を確保する観点から債券取引損失引当金を拡充して持っている。
現段階では事前の対応としては十分なものと考えている。」

フォワード・ガイダンスを拒む日銀

ここでも2点指摘しておこう。

「量的緩和を実行している最中はバランスシートは拡大しているので収益は拡大する傾向にある。」は正確ではない。
マイナス金利の国債を買い入れる場合、収益は縮小を始める可能性の方が大きくなる。
特に満期保有であればそうなる。


「現段階では事前の対応としては十分なものと考えている。」は正しい。
《だから今から何十兆も増資してくれ》とはさすがに言えないだろうから。
さらに、日銀としての大きな方向性も決まっていないから、純資産・引当金の適正金額のイメージさえ持てないのだろう。

黒田総裁は出口について語るのをかたくなに拒んでいる。
しかし、ちらほら垣間見える事態はやはり深刻だ。
このままバランスシートを拡大させるのか、出口戦略をどう想定するのか、そろそろ話す時期に来ているはずだ。
あと1年過ぎて誰かが去ったら問題がボロボロ出てくるなんてことはなしにしてほしい。