ウォートンの魔術師 ジェレミー・シーゲル教授が強気の見通しを継続している。
教授の言葉からは、株式や米市場に対する信念が垣間見える。
過去4-6週間市場の絶え間ない金利上昇の主因はなにか。・・・
原油がまだ強い。
しかし、最も重要なのは経済が本当に強いことだ。
シーゲル教授がウォートン・ビジネス・ラジオで、従前どおりの強気の見方を繰り返した。
ただし、懸念材料もいくつか挙げており、短期的にはわずかに慎重になったようにも聞こえる。
政府閉鎖、(住宅ローン金利を押し上げる)金利上昇、(落ちきそうだが)ケース/シラー住宅価格指数の上昇などを挙げつつも、米経済に鈍化は見られないとの見方を示している。
(このポッドキャストは政府閉鎖回避前に行われた。)
シーゲル教授はパンデミック以降、インフレ動向を読むうえでマネーサプライ(M2)を重視してきた。
その指標も1つの節目を迎えたという。
M2とCPIについて、パンデミック前までのトレンドからの乖離を見ると、いずれも12%となっているという。
米M2(青、左)とCPI(都市部、全品目、赤、右)
「過剰な貨幣がインフレを生んだといいたくなるような話だが、重要なのは、初めてインフレが貨幣に追いついたということ。
もっと過剰なインフレが進むかもしれないが、流動性の観点だけからいえば、過剰な貨幣はとてもよくシステムに吸収されたといえる。」
シーゲル教授は単純なマネタリズムを唱えるわけではないが、これがインフレ鎮静化を示唆するものと言いたいのだ。
裏を返せば、この過剰な貨幣はどこから来たのか。
パンデミックに対応した米政府の財政政策とそれを支えたFRBの金融政策だ。
シーゲル教授は当時から、財政政策の前半を支持し、後半をやりすぎと批判していた。
そして、FRBに対しインフレ予想を誤っていると批判を続けてきた。
それなのに、世間はFRBに再評価を与えつつある。
FRBが歩行者を跳ねたが、すぐに病院に運んだので死ななかったものの、ケガをおったようなもの。
みんなそうなった後もFRBを賛美したいようだ。
米国民は40年で最悪のインフレに苦しんでいる。
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