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ハワード・マークス 高リターンを目指す時の前提とは:ハワード・マークス
2019年12月5日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、投資家に見られる安易なイールド・ハンティング(利回り追求)に注意喚起している。


総括すれば、私たちは高リスク/低リターンの世界にいる。
これはいいことではない。

マークス氏が豪Sky News Australiaのインタビューで、現在の投資環境を端的に表現した。
現状の市場はバブルでも崩壊中でもないとしながら、低リターンを嫌がってリスクを取ろうとする投資家行動には注意が必要だという。

こうした難しい投資環境で、どこに投資すれば高いリターンを上げられるかと尋ねられると、マークス氏はまず考え方を正すよう諭している。

あなたは高利回りのものを追求しなければならないことを前提にしている。
低リターンの世界では、高リターンを得るためにはリスクを取らなければいけない。
だから、あなたの前提は必ずしも正しくない。

マークス氏は、原則的には市場にフリー・ランチがないと考える現実主義者だ。
(例外は、市場が行き過ぎた時(バブルやオーバーシュートなど)である。)
そうした現実主義からいえば、リスクを抑えてリターンだけが向上する機会など原則存在しない。
そうはいっても、もしもどうしても高リターンを狙いたいなら、つまり、高リスクを許容するならどうするか、マークス氏は自身の考えでなく市場の流行りを語っている。

「ほとんどの人が未公開株、私募のクレジット、かけ離れたハイテク投資に投資している。
仮にうまくいくなら、これらは高リターンを実現するが、うまくいくかどうか相当な不確実性がある。」

かつては高金利で人気だったオーストラリアでも金融緩和がかなり進んでいる。
政策金利は過去最低の0.75%であり、米国よりかなり低い水準まで低下している。
この政策の有効性がオーストラリアでも当然話題になっている。

マークス氏は金融政策の限界を淡々と語っている。

私は中央銀行が経済成長を生み出すとは考えていない。
彼らが商売を生み出すとは考えていない。
彼らができるのは将来の商売を加速させ今に持ってくることだけだ。

28年間、景気拡大を続けるオーストラリアもついに景気後退を迎えるのか。
金融政策はそれを回避できないのか。

マークス氏は、将来の需要を先食いすれば、将来に「穴が空く」という。
それを埋めるために、さらに遠い将来から先食いをすることになる。

「このプロセスは永遠には続かない。
中央銀行は景気後退を回避することはできない。」

マークス氏は、先食いの限界のほかに、利下げの限界を2つ挙げている。
1つ目は金利低下には限度があるということ。
ゼロ金利・マイナス金利になれば、暖簾に腕押し(流動性の罠)に陥ってしまう。
2つ目は、金利低下が支出を増やさない可能性だ。

「中央銀行がマイナス金利政策をとった時、1つの可能性として極めて悲観的なシグナルを発し、人々を恐れさせることだ。」

マークス氏は、マイナス金利の欧州で貯蓄率が上昇している現実を紹介し、欧州の家計をおそう恐怖を代弁した。

  • 『何が起こっているのか? 恐ろしい。』
  • 『以前あった収入(利息など)がなくなった。恐ろしい。お金を使うのをやめて貯蓄しよう。』

マークス氏は、利下げであれ量的緩和であれ金融緩和には心理的要素、ショックの要素が大きいと指摘する。

これは物理学ではないんだ。


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