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非生産的な債務は雪だるまのように増える:マーク・ファーバー
2021年6月3日

マーク・ファーバー氏が、財政支出の中身に注文をつけている。
非生産的な支出は財政を悪化させるだけだとして警戒している。


『すべての非生産的な債務は急速に膨張する。
新たに支出する度に新たな信用を必要とし、加えて複利の支払いが増えていく。』

ファーバー氏が月次の顧客向け書簡で、とあるオーストリア学派の人物の発言を紹介した。
今月の書簡では、米国をはじめとする各国の財政支出の中身について警告している。

ファーバー氏のようなレッセフェールの信奉者からすると、世界各国を席巻する優しい政治は我慢がならないようだ。
米民主党政権で教育、治安が悪化していると文句をつけている。

経済政策については冒頭の発言のように、「生産的信用」ではなく「非生産的信用」が急膨張していると警告している。
生産的信用とは、よく計画されたインフラ支出のように、将来経済的利益が戻ってくるようなものを指している。
投資分が税収等で回収されるなら、財政の悪化にはつながらないだけでなく、持続可能性も保証してくれる。
ファーバー氏は「生産的信用」を「投資目的の信用」とも言い換えている。

「債務は、資本財が生産される限り増加する。
一たび(資本財が)装備されると、減価償却によって返済されていく。
しかし、原則として、減価償却が行われると、次に、事実上無限の再投資のフローに資金がつけられることになる。」

ファーバー氏が文句をつけているのは、そうした回収可能性に疑問がある給付の類だろう。
支出しても回収できないなら、利払いだけが増えていく。

それでも、困っている人がいるのだから、助けるのは当たり前のように思うが、ファーバー氏はこういうところに厳しい、あるいは冷たい。
すべてを否定しているわけではないが、やりすぎがないか疑問を呈している。
こうした性格は、何かにつけて自助を重視する責任感の裏返しなのかもしれない。

現在の勢いのある米政府の債務増大の生産性については、読者の判断に任せよう。

もしも生産的信用なら、財政は悪化しない。
ならば、財政悪化を原因とする通貨価値下落(インフレ、通貨安)を心配する必要はない。
(残るのは財・サービスの需給によるインフレだが、これはじきに収まるのだろう。)
今の市場の反応を見る限り、少なくとも完全に安心しているようには見えない。

ファーバー氏は、この書簡で中国の現状にも言及している。
同氏と同様、超弱気で知られるストラテジストのレポートを引き、中国の信用拡大が鈍化していると紹介。
これが経済鈍化を暗示していると説明した。
世間は米国発のインフレの話題で持ち切りだが、中国発のデフレが各国に波及する可能性も存在すると匂わせている。


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