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雇用統計改善が突きつける政策のジレンマ:モハメド・エラリアン
2020年9月5日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、8月の米雇用統計の結果を受け、金融・財政当局の反応を予想している。


「雇用統計から何を読み取るか。
1つは、ある時点で予想通りか予想以上だったこと。・・・
2つ目はまだ本当に厳しい文脈にあることだ。」

エラリアン氏がBloombergで昨日公表の8月の米雇用統計についてコメントした。

8月の雇用統計は

  • 非農業部門雇用者数: 1,371千人(市場予想1,350-1,400千人)
  • 失業率: 8.4%(市場予想9.8%、前月は10.2%)
  • 平均時給: 前月比0.4%増、前年同月比4.7%増

となった。

一見順調な回復に見えるものの、エラリアン氏は安心していない。
まだ10百万人もの人たちが職を見つけられないでいること、今後も失業が増える可能性があること、そして、恒久的な失業者数が増えた点を挙げ、経済状況は依然厳しいと指摘した。

同統計において、恒久的な失業者数は前月比534千人超増えて3,411千人とされている。
これはまだQE3の実行中だった2013年以来の高水準だ。

エラリアン氏は、同統計に対する政策当局の反応を予想する。
議会や政権はジレンマを抱えるという。

FRBは良いニュースを受け取らず、金融緩和を続けよう、と言うだろう。
財政についてはもっと複雑だ。・・・
この数字の増加が新たな救済策を後押しするのか、それほどは要らないとなるのか、が重大だ。

エラリアン氏は、米経済の力強さは十分でなく、追加の「財政出動・構造改革」が必要と考えている。

同氏のこれまでの発言からして、FRBによる金融政策は(フォールンエンジェルの買入れなど)やりすぎるほどやっているとの考えなのだろう。
金融政策は目いっぱいで、今後も継続していく。
今後強化しうるのは財政政策と構造改革といいたいのだ。
とりわけ金融政策で対処できない課題として

  • 家計の経済的不安
  • 生産性低下要因: 産業の集中、脱グローバル化

を挙げた。

一方で、多少の経済回復があっても金融緩和は不変との見方は市場に浸透しているし、昨日パウエル議長も強調した点だ。
この無理もない前提は、今後も市場の強気を支える材料になるのだろう。


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