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関税が寄与する3つの帰結:ジェフリー・サックス
2020年5月21日

コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、トランプ政権の対中政策、保護主義的・ナショナリズム的経済政策を厳しく批判している。


「そういう会社もあれば、そうでない会社もあるだろう。
グローバリゼーションには大きな利点がある。
世界が互いに交易し、専門化し、技術と世界的サプライチェーンの恩恵を受けることは、不利益だけでなく大きな利点がある。
今の論調は不利益ばかり取り上げている。」

サックス教授がCNNで、米企業のサプライチェーン見直しについて語った。
米企業が中国をはじめとする海外生産拠点から撤退し、国内に回帰するとの予想に対して、懐疑的な見方を示したものだ。
グローバリゼーションには大きな利点があるから、損得で動く傾向の強い米企業がそうそう国内回帰することにはならないという。
中国に対する制裁は自国に跳ね返ってくると解説した。

米国は、中国による技術へのアクセスを遮断すると表現するのかもしれない。
しかし、やっていることは、巨大市場から撤退させることで自国の企業を罰し、この数日話題となった先進半導体技術を含む多くのコア技術において中国が最先端に達するのを早めることだ。

サックス教授は、トランプ政権の
・通商では保護主義
・技術ではナショナリズム
を体現した政策を「近視眼的」と批判する。
過去同様に世界を分断しようと試みられた時も、いずれも最後に大きな苦痛を生んだと警告する。
その1つが1930年代のスムート・ホーリー関税だ。
サックス教授は、この関税が3つのことに寄与したと指摘する。

  • 当時の世界を分断すること
  • 大恐慌を引き延ばすこと
  • ヒットラーやファシズムとの対立を激化させること

サックス教授は以前から、トランプ政権下の米国が1914年や1930年代に向かう時代と似たものになることを心配してきた。
国々が、世界共通の利益を追求するのではなく、ゼロサムの闘いに勝つことを目標にしだした時、世界は荒れやすい。

サックス教授は、センセーショナルな言い方を控えつつ、為政者の軽挙妄動をとがめている。

単純な類推をするつもりはない。
言いたいのは、世界経済の相互接続を巻き戻せばすべてうまくいくという考えは極めて甘い考え方だということだ。
選挙の年だからかもしれないが、本当の経済学ではない。


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