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グッゲンハイム スコット・マイナード 長期的な米債務の風景の構造変化:スコット・マイナード
2020年3月19日

グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏が、コロナ対策の政策に注文をつけ、さらに米債務市場の風景が変わると予想している。


「産業や企業を救済する計画が、不必要な倒産コストを回避するために必要だ。
しかし、産業ごとの救済は大きな難題だ。
FRBと財務省により運営されるTARPのような大きな基金を設立する必要がある。」

マイナード氏が18日ツイートした。
同氏は従前からTARP(不良資産救済プログラム)・TALF(ターム物資産担保証券貸出制度)のような政策の必要性を唱えてきた。
うまくやればTARPはコストを生まず、収益事業になりうるからだ。
実際、リーマン危機後の同政策は利益をもたらしている。
そのためには、民間投資家と同様のタフな交渉が必要になる。

「米政府は極端な手段を用いて米経済を支えることができるだろう。
しかし、そのためにはディストレスト投資家のような交渉が必要になる。
危機が終わった時、アップサイドをとれるよう良い担保・保証を要求すべきだ。」

マイナード氏は「極端な手段」を用いれば経済を支えることができると言っている。
逆に先日は、それがなければ「世界規模のソブリン債務危機」が起こる可能性が高まると主張している。

FRBは17日、高格付のCPを買い入れることで市場に資金供給を行うCP資金供給ファシリティを復活させると発表した。
マイナード氏はこれについても注文を付けている。

「FRBのCP資金供給ファシリティは必要だが不適切だ。
A1/P1の発行体だけでなく、本当に助けを必要としているA2/P2の発行体も含めるべきだ。」

グッゲンハイムの癖もあろうが、米市場はすっかりパニック状態にあるようだ。
金融政策と財政政策の境のない議論が当たり前のように行われている。
中央銀行は金利を下げ流動性を確保することが責務なのに、それを超えた産業・企業支援まで求められている。
まず財政政策に求められるべきことが、小回りの利く中央銀行に求められている。
これが本当に適切な程度なのか、それは危機が去った後に明らかになろう。

もっとも、誰が政策を行おうが変わらないことがある。
財政出動が行われ、それが金融政策で支えられる構図だ。

米国債の大幅増とQEによって、長期的な米債務の風景の構造変化が起ころうとしている。
おそらく貯蓄を上回り、企業の借り手をクラウディング・アウトするだろう。

クラウディング・アウトは本当に起こるだろうか。
中央銀行が金利を抑え込んだらどうなるか。
企業は円滑に資金調達できるだろうか。
それはリスクによるのだろう。
リスクが低くないのに金利が低ければ、誰も投融資したがらないだろうからだ。
その意味で、金利上昇が起こらなくてもクラウディング・アウトは起こりうる。

これが示唆するのは、政府支出への依存を強める経済だ。
主役が民間から政府に移る経済・社会。
こういう構図を私たちはどこかで見たことがある。


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