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長引く貿易戦争の果て:ジム・ロジャーズ
2019年8月9日

ジム・ロジャーズ氏がエスカレートする米中摩擦についてコメントした。
米国が中国を為替操作国に認定したのと前後して、人民元は大幅に下落している。


何十億ドルもの関税を課せば、通貨に影響すると思わないか?
中国が(人民元安に)手を貸しているのかもしれないが、誰しも、どんな基礎的な経済学でも、巨大な経済に大きな関税を課せば為替に影響するとわかっている。

ロジャーズ氏がロシア国営RTから人民元安の原因を尋ねられて答えた。
同氏は中国が為替操作をしている可能性を否定こそしなかったが、今回の人民元安の主因については中国の操作ではなく「ただ市場が機能しているだけ」と主張した。
ロジャーズ氏は、米政府が「単純な事実」を捻じ曲げようとしていると批判する。
決然とした意見表明は(内心喜んでいてもおかしくない)RTのキャスターを戸惑わせるほどだ。

ロジャーズ氏は、そもそもの話として、通貨安誘導の功罪を指摘する。

自国通貨安を誘導すれば、自国製品を少し安くし、外国にもっと売れるかもしれない。
一方で、生活費や製造コストを上昇させてしまう。
買うものすべてがどんどん高くなる。

従来《高いドルは国益》としてきた米国が通貨安を模索し始めた点について疑問を呈したものだろう。

ロジャーズ氏は、米国が多くの国と貿易戦争を始めたと言い切る。
現在注目を浴びている米中摩擦については、中国が強硬姿勢で対抗するだろうと予想する。

「中国は米大統領選が近づいているのをわかっている。
しばらく辛抱すれば、中国は米国より統制しやすい社会だから、じっと待っていれば、米国が苦しみ始めると考えているのではないか。」

ロジャーズ氏は中国の強硬な作戦の一例として、中国による米農産品輸入の停止を挙げた。
トランプ大統領の大きな支持層である農民に打撃となる措置であり、大きな影響力を持ちうると指摘した。

ロジャーズ氏は、状況がしばらく悪化するものと予想し、トンネルを抜けるまでのシナリオを披露した。

「世界の市場は下落している。
ドランプ大統領は株式市場を気にしている。
米国株市場が大きく下落して、彼の友達が困るようになったら、何かいいニュースに聞こえる発表があり、市場が上昇するのではないか。」

トンネルを抜けるまではまだ長い時間があり、その間、経済・市場は悪影響を受けるとしている。

RTキャスターは、貿易戦争が米中以外にも拡大する可能性を尋ねている。
ロジャーズ氏は可能性の大小こそ答えなかったが、もしもそうなれば悲惨な状態が数年間続くことになると悲観した。

貿易戦争が良いものであったためしはなく、たとえ貿易戦争の当事者でなくても被害を受ける。
全世界の経済が被害を受け、すべての人が被害を受ける。

ロジャーズ氏は、貿易戦争が当事者でない人も含め全世界のすべての人に害を与えると話した。
自分は勝ったと言い張る人がいても、実は負けているのだという。
とても悲しそうな顔で、こう付け加えた。

「トランプ大統領は自分が歴史より賢いと思っている。
彼は、歴史を操れると思っているんだ。」


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