金融緩和が資本主義の機能を妨げる:ピーター・シフ

Euro Pacific Capitalのピーター・シフ氏が、米市場における大型新規上場についてコメントしている。
いつもながら独断的な視点ではあるが、底流に正論が語られていて興味深い。


「この会社は創業から10年ほどになるが、ついにIPOを迎えた。
ドットコム・ブームの時ならPinterestのような会社は創業1-2年で上場していただろう。」

シフ氏がポッドキャストで1999-2000年のドットコム・バブルを回想している。
ドットコム・バブルでは社歴の極めて短い企業でもどんどん上場する風潮があった。
しかし、最近ではベンチャー企業が上場するまでの期間が長期化していると言われる。
それが、米国においてユニコーン企業が増えた理由の1つだ。
社歴の長期化は投資家に多く考える材料を与えているはずだが、それでも投資家の食欲は旺盛だ。

ドットコム・ブームから1つ変わらないのは、Pinterestがまだ利益を上げていないことだ。
創業から10年たって、まだ利益を上げる方法がわからないなら、将来はどうなのか?
・・・
リフトやウーバーほど大きな損失ではないが、・・・こんなに損失を出していて、どうしてこの会社に価値があるのか。


創業から長い時間がたっても利益を計上しない企業はPinterestだけではない。
収益モデルを確立していない企業でも莫大な時価総額がついている例はいくつもある。
シフ氏は、本来ならゾンビ企業かもしれない企業が生きながらえる環境を中央銀行が生み出してきたと指摘する。

「FRBがこれほど長く低金利にしているために、資本コストが下がったままとなり、多くの企業が資金調達して生きながらえることができている。
通常の自由な市場システム・資本主義システムならば、破綻していたはずだ。・・・
もしも過去10年間が通常の金利水準で、FRBが人為的に低金利を維持していなかったら、Pinterestはすでに黒字化していたか、あるいは廃業していただろう。」

シフ氏は、慢性化したFRBによる安価なマネー供給が投資家にギャンブル志向を植え付けたと批判する。
ギャンブル志向が投資家の資金を赤字企業に向かわせ、無価値かもしれない企業の延命を可能にしてきたと説明する。
そして、これが資本主義における市場の有する重要な機能を阻害していると警告する。

もしもあなたが価値を生み出したなら、あなたは価値を加えたことになり、利益という報酬を受ける。
つまり、利益という動機は、資本主義の中で資源が生産的に用いられることを担保するものなのだ。


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