金融政策の正常化は不可能:ピーター・シフ

Euro Pacific Capitalのピーター・シフ氏が、金融政策正常化について語っている。
債務を多く抱える経済では金利を正常化することができず、それが向かうのはインフレだと予想した。


「元々FRBが再び利上げできなくなると私が言った理由は、利上げが終わることのできない旅路の始まりだからだ。
金利を正常化する段階で、株式市場のバブルが弾け、経済が景気後退に逆戻りすると予想したからだ。」

シフ氏がある講演で話した。
サブプライム/リーマン危機とは民間セクター(住宅と証券化商品)の中に過大な債務が発生して起こった金融危機だった。
そこから立ち直る段階でFRBはゼロ金利政策と量的緩和政策を実行した。

「FRBが金利を人為的に低位に保った期間、FRBはみんなが債務を減らすのではなく増やすのを後押ししてしまった。
・・・
FRBは市場関連の治療法で経済を救うことはできたけれど、それは病気をさらに悪化させたんだ。」

金融緩和なしに経済が十分回復したかは大いに疑問だから、シフ氏の批判はやや厳しすぎる感がある。
しかし、こうした批判の声は決して少ないわけでもない。
FRBが行ったQEのうちQE 1を批判する人は多くない。
非常時の対応策として許容され支持されるものだった。
しかし、QE2、QE3となると必ずしも賛成意見一色とはいかなくなる。
株が上がって喜ぶ株屋らを除けば、批判のタネはいくらもある。
格差拡大を助長したというのも1つだし、経済の安定を長期的に揺るがすというものも1つだ。


シフ氏は、景気が10年近く拡大し雇用も逼迫しているのに金融緩和から脱することのできない現状を冷静に捉えている。

異常な規模まで債務を増やしてしまった時、金利の正常化は不可能になる。

債務が大きく拡大した時、それが政府であれ、中央銀行であれ、民間セクターであれ、その経済主体を破綻させることが難しくなる。
たとえ民間だろうと、規模が大きければシステミック・リスクを引き起こすからだ。
借金漬けの主体を温存するために低金利政策が続くことになる。

シフ氏は、FRBが低金利によって生み出したものが今、金利上昇とともに内爆を始めたのだという。
米経済はゼロ金利という薬に慣れきってしまい、それなしには成り立たなくなっていると主張する。

「米経済はゼロ金利の上に成り立っており、2%では機能しないことが今まさに目の前で明らかになりつつある。
でも市場はまだそのことを忘れがちだ。」

金融緩和から抜け出せないとしたら、米経済はどこに向かうのか。
シフ氏は根拠こそ薄いものの、得意のレトリックを用い、正しそうに響く予言をしている。

『量的緩和』とは『インフレ』の婉曲表現にすぎない。
マネーを拡大する、それがインフレの定義だ。
・・・
FRBは狂ったようにインフレを生み出してきたんだ。


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