海外経済

金融抑圧の終わり方:カーメン・ラインハート

著書『国家は破綻する』で有名なハーバード大学カーメン・M・ラインハート教授が、金融抑圧からのエグジットがどうなるかに触れている。


現在の経済はスイート・スポットだ。

ラインハート教授がBloombergで、良好な米経済について語った。
米経済は「極めて良いとは言えないが、かなり良い」とし、インフレも抑制されていると指摘した。
教授はこの言葉を使わなかったが、まさにゴルディロックスだ。
冷えすぎも熱しすぎもせず、FRBによる金融引き締めの心配もない。
人々の心理も改善した。
米中摩擦の第1段階合意後、不確実性が低下するとの見方から「楽観が息を浮き返した」のだという。
ただし、ラインハート教授は、過度な楽観には釘を刺している。

「もちろん失望があるかどうかはまだわからない。
みんな貿易戦争が終わればはるかに高水準の貿易と成長の世界に戻ると期待していたが、それは起こりそうにない。」

ラインハート教授は、人々の楽観がやや行き過ぎていると感じているようだ。

ブリッジウォーター・アソシエイツのボブ・プリンス共同CIOの「ブームと破裂のサイクルは終わった」との発言についてコメントを求められると、やや不愉快そうにファクトを述べている。

人々はその言葉を何世紀にもわたって口にしてきた。
米国がブームと破裂のサイクルから離れたことはない。

その上で、チャールズ・キンドルバーガーの言葉「金融危機は耐寒性多年生植物だ。必ずまた芽を吹き返す」を紹介した。
ラインハート教授は、過去のルールが今は当てはまらないと考えるのは世の常、人間の本性と分析する。
バブルの兆候は見え始めており、早ければ来年、今後5年のうちには株式バブルや過剰の問題が話題になるだろうと予想した。

現在、米国ではマイナス金利政策・マイナス利回りをこき下ろすのがブームになっている。
ラインハート教授も、マイナス金利が経済に及ぼす影響に懸念を持っている。

「みんな、マイナス金利が借り手に有利、民間と公的な借り手の両方に有利なものと強調する傾向がある。
しかし、マイナス金利は同時に銀行に打撃を与える。
・・・また、年金に打撃を与える。」

マイナス金利にはもちろんプラスの効果もあるのだが、同時にマイナスの副作用も大きい。
景気刺激メカニズムで重要な役割を担う銀行の機能を削いでしまう。
さらに、高齢者の生活を保障し消費を支えるのに一役買っている年金にも打撃を与える。
この問題は何も日欧のように名目金利がマイナスの場合に限った話ではない。
米国のように実質金利がマイナスの場合にも(程度の差こそあれ)起こっている話だ。

ラインハート教授は、金融抑圧という言葉を用いて、その終わり方についての心配を述べている
サプライズとともに始まった金融抑圧は、終わり方もサプライズになるかもしれないという。

金融抑圧、定常的なマイナスの実質金利は、緩やかなよく計画されたやり方で終わるとは限らない。
・・・
マイナスの(実質)金利領域からの脱出は、予期しないインフレによって実現するのかもしれない。
そういう兆しがあると言っているのではないが、エグジットとはいつも素敵でゆっくりで秩序立っているとは限らない。


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