金融危機が起こると決まったわけではない:モハメド・エラリアン

独Allianz首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏は、市場心理が過度に弱気に振れていると指摘した。
弱気心理自体がリスクとなりうると心配し、高ボラティリティを想定した投資戦略を奨めている。


用心しないといけない。
私たちは自ら景気後退に引きずり込みかねない。
テクニカル面の悪さが経済を悪化させてしまうんだ。

エラリアン氏がCNBCで警告した。
米経済が良好なのはほとんどの投資家のコンセンサスだ。
それなのに、市場心理が弱気に振れている。
市場が臆病風に吹かれると、自己実現的に弱気相場に陥り、ついには実体経済にも波及しかねない。
不必要な景気後退を生んでしまうのだ。

バブル研究の権威ロバート・シラー教授は(真相は別として)現在の市場には危機が起こりつつあるというナラティブが存在すると指摘し、そのナラティブこそが足元の相場が荒れる原因だと指摘した。
前2回の景気後退期、市場は暴落し危機的な状況となった。
ITバブル崩壊とサブプライム/リーマン危機である。
これが投資家の頭を離れない。
事実ではなく心理が市場を動かし、場合によっては経済にまで影響を及ぼそうとしている。
あいにく、米経済は資産効果が効きやすい構造にある。


エラリアン氏は、米経済について「何らシステミックな弱さが見られない」と太鼓判を押す。
一方で、国外経済やテクニカル面に懸念材料があるとも指摘する。
エラリアン氏は、足元の市場の弱気を行き過ぎと指摘する。

「必ずしも危機に至るわけではない。
2008年に起こったことはとても特殊なことだ。
銀行システムがリスクにさらされたために起こった。
銀行システムをリスクにさらすと、支払・決済をリスクにさらすことになる。
今はそんな状況ではない。・・・
米経済の鈍化が景気後退や金融危機を意味するとの考えは単なる間違いだ。」

今回の《今回は違う》の根拠は銀行システムの強化だ。
たしかにドッド・フランク規制などにより、米銀行システムは大幅に強化された。
しかし、近年の危機はほとんどの場合、決済を受け持ち当局の監督を受ける銀行システムで起こったりしない。
発端はドットコム株であり、シャドウ・バンクなのだ。
債務が増え続けている以上、危機のリスクは減ったというより居所を変えたというべきなのではないか。
投資家の多くがそういう漠然とした不安を抱えている。

エラリアン氏はFOX Businessで、市場ボラティリティが高止まりし、場合によっては突発的な事故で大きく上げ下げする可能性があると指摘した。
その上で3点アドバイスしている。

  • ボラティリティを覚悟しろ。
  • クッションのために現金を持て。
  • 急落では優良銘柄まで売られバーゲンになるので、バランスシート・キャッシュフロー・経営陣の強い企業を物色しておけ。

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