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金融・経済の乖離には限界がある:モハメド・エラリアン
2020年9月7日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、米経済政策について問題を整理し、厳しい注文をつけている。


「私たちが債務や財政赤字について心配する理由は持続可能性にある。
家庭と同じで、いくら使えるかはいくら稼ぐかにより、どれだけ借金できるかは将来の稼ぎの可能性による。
重要なのは、財政赤字が長期的な経済成長を促進するのを確保すること。」

エラリアン氏がCBSで、今年、対前年3倍超の3.3兆ドルに上ると予想される財政赤字についてコメントした。
対GDP比で16%にあたる。

エラリアン氏は、足元の財政赤字が将来の経済成長を向上させ、その向上分で取り戻せるならば、心配は要らないという。
一方、もしもそうならないなら「経済成長と債務の両方で問題を抱える」ことになると警告する。

もちろん、この仮定の命題はいずれも正しい。
政府が大きな財政赤字を容認する時(今年は例外だろうが)いつも同様のレトリックが用いられる。
結果は、少し長い期間見てみないとわからない。
将来、成長率が十分に回復せず、財政再建も進まないなら、米国の日本化が本格化したということになろう。

エラリアン氏はFRBの金融政策について「基本的にFRBはアクセル全開」と評する。

経済回復を支えるために、できることはすべてやるだろうが、FRBは手伝いであって、結果を出すわけではない。
FRBがやろうとしているのは、他の政策当局が関与し実際に経済成長を改善するための時間を買うことだ。

金融政策は、解決すべき問題の本質を解決するものではないとの指摘だ。
エラリアン氏は望まれる政策を、従前とほぼ同様に、救済、ウィルスとの共存、経済回復、家計のセーフティネットと話す。
マクロ経済面でいえば経済回復ということになる。
中央銀行が時間稼ぎをする間に、構造改革・成長戦略によりどれだけ経済の底力を高めることができるか。
それだけの時間、中央銀行の時間稼ぎは効果を持続できるか。
すでに各国中央銀行は長い間アクセルを踏み込み続けてきた。

「FRBは金利を極めて低く、ほぼゼロに維持するだろう。
証券買入れを増やし、私たちの背後を守り続けると安心させてくれるだろう。・・・
しかし、強調し続けたいのは、金融市場を背景にある経済から乖離させるのには限界があるということだ。」

エラリアン氏は、金融市場と実体経済の間の乖離が今年さらに大きくなっていると指摘している。
仮に市場が崩れれば、中央銀行の時間稼ぎも頓挫するだろう。
同氏は2021-22年の課題を話す。

包摂的で持続可能な形の経済成長が可能か。
そうならなければ、大きな社会・金融上の課題を抱えることになる。

1-2年先に望むには、あまりにもハードルの高い課題ではないか。


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