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金融アルマゲドンへの備えが奪われる:ローレンス・サマーズ

クリントン政権で財務長官を務めたローレンス・サマーズ ハーバード大学教授が、レイムダックとなったトランプ政権の経済政策に対して辛辣な批判を展開している。


私、私とともに働いた人たち、他のクリントン政権の閣僚の中に、次の政権が実行したいことを実行するための準備に全面的に協力しなかった者はいない。

サマーズ氏がBloombergで、ムニューシン財務長官による政権移行に対する非協力的な姿勢を強く批判した。

19日に公表されたムニューシン長官からパウエルFRB議長への書簡では、緊急融資制度のうち4つについて延長を求める一方、5つについては年末での終了を求めている。
それにともない、未消化の資金をFRBから政府に返還するよう求めている。
これに対しFRBは、すべての融資制度が依然必要との見解を公表している。

サマーズ氏は、2人の危機時の財務長官を比べるツイートもしている。

「金融危機(リーマン危機)の間、ポールソン財務長官は、政権移行においてFRBと次期政権が危機封じ込めのための強力で協調的な努力を行うのを助けるのが自身の仕事だと理解していた。
ムニューシン長官はそれと反対のことをしている。」

奇しくもムニューシン長官もポールソン元財務長官もゴールドマン・サックス出身で、共和党政権における財務長官となった。
ムニューシン長官は上級副社長まで、ポールソン元長官は会長兼CEOまで務めている。
両氏ともに在任中に史上まれにみる経済危機に見舞われた。
先行き次第では、評価に大きな差が出てくるのかもしれない。

サマーズ氏が批判するのは、閣僚としての姿勢の問題だけではない。
政策そのものが誤っていると断じている。

「2つ目の問題は、単純に信じられないほど無配慮・無分別であることだ。
パンデミックがはるかに悪化している時、ワクチンまでどうなるかわからない時、財政刺激策の合意がどうなるか確信を持てる拠り所がない時、どのような方法であれFRBの手足を縛りFRBの危機対応能力を削ぐのは愚の骨頂だ。」

かなりのお怒りと見て、相当にきつい言葉を用いての批判となっている。
元財務長官が現財務長官を「愚の骨頂」というのだからなかなかのものだ。
サマーズ氏は、FRBの政策実行余力が危機時における保険の役割を果たしていると考えている。

誰もムニューシン長官に対し、彼が望まない支出を承認するよう求めてなどいない。
求めているのは、金融アルマゲドンに備える能力を維持しておきたいだけなんだ。


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