ブラックロック

 

金利低下・上昇と債券・株式投資:ブラックロック

資産運用の世界最大手BlackRockのマシュー・タッカー氏が、金利の低下局面が債券投資家に与えた影響について分析している。
償還期限に償還される性質から、長期と短期の投資家に分けて考える必要があるのだという。


最近よく耳にするコメントが、いかにこれまで債券市場の投資家が幸運だったかという話だ。
金利が数十年にわたって下落し、これが巨大な債券の強気相場につながった。
みんなが考えている伝統的な考えはこうだ: 金利低下は投資家にとってプラスで、金利上昇は悪い。

タッカー氏が自社のブログで、伝統的な考え方に挑んでいる。
資産価格を計算するための最も単純なモデルは、将来のリターンを金利(資本コスト)で割った式だ。
だから、金利が上昇すれば価格は下落するし、金利が低下すれば価格は上昇する。
これが伝統的な考えの背景にある理屈であり、もちろん間違いではない。
しかし、この式にあまりにもとらわれすぎると、過度に弱気に振れてしまいかねない。

タッカー氏は、ある思考実験を行っている。
インフレに苦しむ米国を救うためにボルカーFRB議長(当時)がFF金利を2桁まで引き上げた時代、1981年9月30日に長期投資を始めたらどうなっていたかというシナリオだ。
S&P 500に30年間投資し、配当も再投資したケースでは、年率10.80%のリターンが得られたのだという。
一方、当時の新発米30年債利回りは15%だったから、こちらもすばらしいリターンが上がったのだ。
この30年間に30年債利回りは3%程度まで低下したから、資産価格には追い風が吹いた時期だった。


問題は、30年債に投資した場合の利回りだ。
投資した時点では15%を期待してしまうかもしれないが、決してそうではない。
30年債はクーポンを支払い、そのクーポンの再投資分は金利低下と期間の短期化によって利回りが低下してしまう。
結果、全体の利回りは約10%程度にまで下がってしまう。
債券で10%なら悪くはないが、最初の15%や金利低下が資産価格を上昇させるという話からするとなんとも残念だ。

答は簡単だ: 利回り低下は債券の長期投資家にはいいものではない。

債券を償還まで保有する投資家にとっては、金利低下が資産価格を上昇させるという話は関係ない。
償還で得られるのは額面と決まっているからだ。
むしろ、金利低下によって再投資が不利になってしまうのだ。

逆に債券を短期・中期で売買する投資家は、金利低下による債券価格の上昇の恩恵を受けうる。
もっとも、売却後も同じ債券を買い戻すのでは同様に再投資の問題を抱えてしまう。
異なる資産クラス間を飛び回る覚悟が必要だ。

市場には、金利の長期低下局面が終わり、長期上昇局面が始まるかもしれないことへの恐怖感が存在する。
しかし、債券に限って言えば、低下が言われているほどプラスでなかったように、上昇もさほどマイナスではないと言えるのかもしれない。
すると最後に疑問が残る。
では、株式はどうなのか。
タッカー氏は明示していないが、次の指摘が手掛かりになるかもしれない。

債券価格の変化は(償還期限が近くなるにつれ)減衰するが、株価変動は減衰しない。
これは、投資において最も見過ごされている概念であり、フィクスト・インカムと株式を分ける決定的な違いだ。


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