ジェフリー・ガンドラック氏による1月8日ウェブキャスト第4弾: 金利とドル相場の見通しについて語っている。
まず長期金利が上昇し、2020年は(FRBによる長期金利)操作の可能性がある。
ガンドラック氏がウェブキャストで、今年の長期側の金利の先行きを占っている。
「有機的」には金利上昇を予想しつつも、現実には中央銀行によって押し戻される可能性が高いという読みだ。
同氏は長期金利上昇とイールド・カーブのスティープ化を予想する理由をいくつかチャートで示した。
- FRBバランスシートと長短スプレッドの相関
- 銅/金比率
- 名目成長率と独10年債利回りの平均: 2.1-2.2%
いずれも「有機的」には金利上昇を示唆しているが、現実には大幅な上昇を予想していない。
3つ目の経験則通りになるなら、米長期金利は現状より40 bpほど上昇することになるが、そうなる前に(市場または中央銀行により)ブレーキが踏まれると見ているのだ。
「9月の最低利回りからレポ金利が壊れた9月17日まで40 bpしか上がっていない。
金融システムが故障するまで40 bpの上昇しか必要としなかった。
10年債利回りが40 bp上がって2.2%になるかもしれないことは忘れてもいい。
そうなれば、金融システムにまた別の問題が起こっても驚きはないからだ。」
皮肉たっぷりの予想である。
ともあれ、ガンドラック氏の長期金利予想はとりあえず上昇だ。
その一方で、ドル相場については従前どおりドル安方向を予想し、いくつかチャートを示し理由を挙げている。
- 実効為替レートと双子の赤字の間の相関: 実効為替レートが2年ほど遅れて追随する傾向があり、これがドル安を暗示
- ユーロ圏各国と比べて財政赤字対GDP比率が大きい: ユーロ高要因に
- FRBが利下げした
- 実効為替レート(Broad)がダブル・トップで跳ね返された
- 10年-2年スプレッドとドル指数の逆相関: 長短スプレッドが拡大
最後に、ガンドラック氏は日欧の投資家の米資産投資(キャリー取引)の要因を説明した。
同氏は、ドル/円、ドル/ユーロのベーシス・コストが上昇していることから、米国へ流入する投資に為替ヘッジをつけにくくなっていると説明した。
「彼らは裸で投資しており、ヘッジしていない。
ドル高の一因は、かつては米国債・米社債・米MBSなど米資産を購入する時には為替ヘッジ付きで中和していたのが、ヘッジをやめると追加的なドル需要が生じるためだ。
これは危険だ。」
日欧の投資家が、ドル建て資産に為替ヘッジ付きで投資する場合、ドル相場には中立の取引となる。
一方、ヘッジなしで投資するということはアウトライトのドル買いになるから、当然ドル高要因だ。
その間の行き来が、これまではドル高要因を生んできた。
ではなぜガンドラック氏はこれを「危険」というのか。
それは、投資家の動機に根差している。
貪欲により行っているのではなく、恐怖と必要で行っている。
そうせざるをえないんだ。
一たび必要がなくなると、あっという間に逆転することになる。
そうしたかったわけではなく、必要からそうせざるを得なかっただけだ。
これはドル安をスタートさせる要因とまではいえまい。
しかし、一たびドル安がスタートすると、それを加速するように作用することになる。
「もしもドル安になるなら、外国人が米国売りを始めるだろう。
これが今後数年のテーマになるだろう。
今年始まるかもしれない。」
本格的に始まる時期について、ガンドラック氏はやや歯切れが悪い。
この予想が意味するところが大きいためだろう。
このドル売りはドル資産の売却をともなう。
そうすれば、米国債をはじめとする幅広いドル建て資産が売られることになる。
ガンドラック氏はドル安予想にともない、いくつかの資産クラスを推奨している。
金などコモディティ(ドル建て)、比較的割安な米国株以外の株式、新興国市場の株式・債券などだ。