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金利上昇で脅かされる金融安定のカギ:モハメド・エラリアン

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、月初に見られた米長期金利の上昇について、FRBの本音を推測している。


FRBは(現状の政策を)やめる時にたいへんな困難を迎えるだろう。
財政当局・金融当局・家計から潜在的に注入されうる流動性は今年だけでGDPの20-25%もあるんだ。

エラリアン氏がCNBCで、政策が牽引する株高について、牽引の後について見通した。

コロナ・ショックへの対応のために講じられた財政・金融政策は、莫大なマネーを民間の経済主体の銀行口座に注入した。
そのマネーが、ワクチンによる集団免疫実現を待っている。
その間、市場にも追い風となるだろう。
しかし、政策対応が不要となる時が来たらどうなるのか。
その時、リスク資産の価格はさぞかし上昇していよう。

もっとも、FRBは出口がまだまだ先とアピールし続けている。

FRBは今市場を微調整しようとしている。
年初5営業日で、2年-10年、2年-30年で見て、イールドカーブは20-23 bpほどスティープ化した。
5営業日としてはかなりの動きだが、長期的な経済見通しの変化とすり合っている。
すると、すぐさまラエル・ブレイナード理事、リチャード・クラリダ理事、ジェローム・パウエル議長が口先介入し、利回りを押し下げた。
FRBがイールドカーブにこんなに素早く対応しないといけないと感じているのは興味深い。

今はまだ金利上昇は望ましくないとのFRBの意思だろう。
経済見通しとすり合った金利上昇でさえ、もう少し待ってほしいのだ。
ただ、ここで疑問が湧く。
1%を少し超えた米長期金利は、実体経済に有害なのだろうか。
背景には、消費頼み、資産効果頼みを続ける米経済の構造がある。

利回りの変化が早すぎると、金融安定のカギである2つのモノの制御ができなくなる。
1つ目はTINA、他に(投資できる)リスク資産はない。
2つ目は、すべてのDCFモデルから発せられる『株を買え、株を買え』というシグナルだ。

裏を読むなら、あまり早く金利が上昇すると、

  • 債券の相対的魅力が増し、株が売られる。
  • 株価の理論価格が低下し、市場株価を正当化できなくなる。

ということだ。
月初のFRBを見る限り、それが意外と近いところにあるということだろうか。


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