アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、米金利上昇の読み方について解説している。
経済に関してはデータがまちまちだ。・・・
でも、重要なのは市場の反応だ。
良いニュースがもはや市場にとって良いニュースでなくなっている。
悪いニュースがもはや市場にとって良いニュースでなくなっている。
エラリアン氏がCNBCで、市場心理に変化が起こっていると指摘している。
これまでは、良いニュースにも悪いニュースにも前向きの反応を見せてきた市場が、慎重になってきている。
市場の楽観を陰らせたのは言うまでもなくインフレ上昇・金利上昇の気配だ。
・・・10年利回りとイールドカーブのスティープ化に注目すべきだ。
それが、まちまちな経済状況に対する市場の反応のしかたを教えてくれる。
エラリアン氏は金利の見方について解説している。
- イールドカーブ: スティープ化がインフレ懸念を反映している。
前例のない規模の金融・財政政策が金融市場に莫大な資金を注入しており、インフレが心配されている。 - スプレッド: 今のところFRBがクレジット市場のボラティリティを抑え込めると市場は信じている。
破綻の連鎖が起こりうることを市場は度外視している。
エラリアン氏は、クレジット市場がデフォルト・リスクを意識し始める時がいつか来ると言う。
伝聞の形で、長期金利1.40-1.50%あたりがそのタイミングになりうると話した。
エラリアン氏は、今年物価水準に急騰(「pop」)が起こると予想する。
新たな水準はFRBの予想よりかなり高いものだという。
理由はタイミングの不一致だ。
脱コロナの過程で有効需要が高まるのに対し、供給がすぐには反応できず、物価水準がシフトするのだという。
(これは、コンセンサスになっているベース効果による一時的な物価上昇とは別のものだ。)
経済学者は、これがインフレへ転じる過程かどうかはわからないというだろうが、市場は区別しない。
物価水準は変化し、FRBが考えるよりも大きくなり、FRBを窮地に追い込む。
背景にある要素については、供給側や他の要因を見る限り、これは物価水準の急騰であって、インフレ的過程ではないだろう。
つまり、物価水準はシフトするが、継続的にインフレが進むようなものではないという意味だろう。
しかし、市場心理には変化の兆しも見える。
これまでのように何でも一方的に楽観視するとは限らない。
そうなれば「pop」に対し動揺する可能性もあるのだろう。