金利の正常化が重要だ:ロバート・シラー

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、ダボスでインタビューに応えている。
米住宅、経済、FRB、そしてダボス会議についてユニークな視点からコメントしている。


「米住宅価格は1980年以降で3番目に大きなブームを迎えている。
これは大きい。
みんな住宅が高くなったと考え始めており、それは住宅価格下落を招きうる。
でも、まだ私はそこまでは予想していない。」

シラー教授がYahoo Financeで米住宅市場について語った。
新築住宅販売が減少したことを尋ねられての回答だったが、S&Pケース・シラー住宅価格指数の対象となっている既存住宅の価格は堅調と答えている。
ただし、住宅価格は重要な景気先行指数であり、常に注意が必要と話している。
そして、住宅市場や景気は人々の心理の影響を受けやすい。

「今年6月まで景気拡大が続けば満10年、120か月で史上最長になる。
前回は1990年代終わりから2003年だった。
だから、みんな住宅価格がそろそろ調整すると考えている。」

シラー教授は、景気の先行きを論じる時にFRB利上げや長期金利の動向が盛んに語られている点を指摘する。
しかし、過去を振り返ると、金利はそれほど信頼性の高い景気先行指標ではなかったという。
それに比べ、住宅はより景気と密接な関係を示してきたという。

「住宅価格は、特に過去50年間、かなりトレンドに沿って動き、上下してきた。
・・・それは、容易に売買できないためだ。
足の速いマネーが日々出入りはできない。
住宅価格はモメンタムを示している。」


シラー教授は、モメンタムを示す住宅価格に幾分減速が見られるとし、住宅価格が下落に転じたり、景気が後退する可能性は否定できないと話す。
しかし、今年それが起こる確率が50%超あるとは思わないと語った。

シラー教授は、ジェローム・パウエルFRB議長の手腕について高く評価している。
議長の考えは極めて標準的なものであり、大統領からの圧力に屈することなくFRBの独立性を守っていると称えた。

「金利を正常な状態に戻すことが重要だ。
インフレを差し引いた実質金利は、短期側でまだたいしてゼロを離れていない。
これは正常へのステップなんだ。」

2016年に米経済学会の会長を務めたシラー教授が、金利の正常化を「標準的な考えであり、ジャネット・イエレン元議長も賛成するはずだ」と話している。
資産価格の第一人者の教授が、資産価格に悪影響を及ぼす可能性の高い金利上昇に前向きな意義を見出している。
2%物価目標が達成されたかどうか微妙な状況で、米国の標準はすでに正常化にシフトしたようだ。
ほんの1年前とは様変わりのように見えるが、おそらく今こうした「標準」を口にする人たちも、これまでは声を大きくしてこなかった面があるのだろう。

シラー教授は、ダボス会議の変化について尋ねられると、教授らしい答を返している。
会議の側の変化ではなく、人々の側の変化に着目した。
しかも、場外の人々の変化だ。

驚いたのは、反対派が変わったことだ。
前にダボスに来た時には、ポスターを持った左派急進派が街にいた。
今は誰も抗議をしていない。
もしもいたとしたら、それは右翼だろう。
だから少し心配しているのは、中間層、あるいは広くとった中間層、つまりほとんどの人が取り残されていると心配する人が多い時に、ダボス会議が金持ちや特権階級の砦のように見えているのではないかということだ。


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