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ハワード・マークス 金利が人を誤らせる:ハワード・マークス
2023年11月9日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が、超低金利時代に端を発する誤りを指摘し、今後の市場は投資家の力量がものを言う時代になると期待している。


「金利について聴いている人たちに明示したい2つのことを考えていた。」

マークス氏が自社のポッドキャストで語りだした。

マークス氏が明示したかったこととは:

  • 債務の金利は、人々が株式に期待するリターンより常に低い。
  • 短期の金利はほとんどの期間で長期の金利より低い。

マークス氏は、これらのファクトが人々の行動に深い影響を及ぼすと指摘する。
往々にして2つの誤りを誘うのだという:

  • 低金利は常にレバレッジの魅力を高め、レバレッジを効かせた株式投資リターンを高める。
  • 短期金利での借入は長期金利での借入よりコストが低いと考え、短期で調達し長期で運用する。

これら2つの誤りは、今まさに露呈していることだ。
レバレッジを使って株式に投資をしていた人は、金利上昇と順風満帆とは言えない株価に焦りを感じているだろう。
短期で借りて、あえてミスマッチを許容し長期で運用している人は、イールドカーブの長短逆転に苦しんでいるだろう。

レバレッジとミスマッチは財務的問題を抱える2つの最大の道だ。

マークス氏は、これら誤りが調達金利とそれに対する人々の感じ方によって引き起こされると分析している。
そして、それがリーマン危機後の超低金利の時代に起こったと言いたいのだ。

「少し前の期間は異常に簡単な期間で、リスクテイクが報われる期間だった。
リスクを取れば取るだけしばしば多く儲かると仮に学んだのなら、それはとても危険な教訓になるだろう。」

マークス氏は今年の米国株市場を例にとり、その楽観ぶりに驚いたと語っている。

能天気な投資家が有利だったリーマン危機後の時代は、マークス氏らにとっては不利な時期だった。
優れたクレジット分析など役に立たない「簡単」な時代であり、優れた者が優れていることで差別化できない時代だった。

  • リスクテイクが報われた。
  • 借金には(低金利という)補助金が付いていた。
  • 貸し手は(低金利で)ペナルティを受けた。
  • バーゲンハンティングが難しかった。

こうした時代が終わったことをマークス氏は素直に喜んでいる。

みんな『より長くより高く』について話しているが、今の金利は高くない。
これは正常な金利だ。

マークス氏は専ら自社のビジネスであるディストレストについて語っているが、これは株式にもそのまま当てはまることだろう。
これまでは何も考えずインデックスを買っていた人が報われる時代だった。
レバレッジをかければ、さらに功を奏したはずだ。
しかし、これからは銘柄選択で差がでる時代になるのかもしれない。

なお、マークス氏は現状の米国株市場の水準についても短くコメントしている。

「市場、株式市場でさえ防御を促すほどには高くない。
積極的になるよう促すほど低くもない。」


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