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金は通貨安へのヘッジ、オーバーウェイト:ヌリエル・ルービニ
2020年8月3日

ヌリエル・ルービニ ニューヨーク大学教授は、拡張的政策が潜在的に通貨の価値を貶めると予想し、金がヘッジ手段として上昇していると解説した。


金価格は上昇するだろう。
理由はまず、大規模な金融緩和が行われ、名目・実質利回りともにどんどん下がっていること。
次に、大きな財政赤字のマネタイゼーションによって法定通貨の価値低下が起こっていることだ。

ルービニ教授がYahoo Financeで、もはや市場のコンセンサスになりつつある金への強気の見方の背景を語った。
教授が指摘する最大の理由は政府・中央銀行(特に米国)の政策に根ざすものだ。

短期的にはこれはデフレ、景気後退、不況を避けようとするものだが、時間とともに各国中央銀行のバランスシート膨張が最終的にインフレ上昇につながる。
特に、脱グローバル化や技術革新が少ないといった負の供給ショックの存在する世界ではそうだ。

ルービニ教授は、現在の拡張的な金融・財政政策が(結果的に金を押し上げる)インフレにつながると指摘する。
今回のFRBの資産買入れは従来のQEとケタ違いのスピードだ。
しかも、今回のQEは、QE1からQE3までと異なり、見せ金ではない。
政府が家計・企業にお金を配ることで、経済に流通するお金の量が実際に急増してきた。

こうした要因に加え、世界経済に起こりうる構造変化も見逃せない。
脱グローバル化にともなうサプライチェーンの見直しは、グローバル化の果実だった財・サービスの低コスト化の妨げとなりかねない。
これまで技術革新はインフレを抑え込む役割を果たしてきたが、国境が高くなるにしたがい、その恩恵も減ってしまうだろう。
こうした負の供給ショックは、コロナ・ショックのデフレ的影響が解消するにつれ顕在化するのかもしれない。
これら潜在的なインフレ懸念が、金価格を押し上げている。

ルービニ教授は米ドルについて、国際政治がドル離れを引き起こしていると指摘する。

「さらに地政学的リスクから、中国やロシアが、外貨準備の米国債が最終的に米国により収用されたりデフォルトになったりすることを心配し、米国債を売り、金に向かっている。」

(定量的にタイミングまで)正しいかどうかはわからないが、現在、金価格が上昇すると考える理由が多く存在する。
これが実際に金価格を上昇させてきた。

ただし、終末博士の金に対する強気スタンスはほどほどといったところのように感じられる。

金は、経済・金融の両方のリスク、潜在的で最終的・中期的なインフレ上昇、法定通貨の価値低下に対するヘッジになる。・・・
だから、今は様々なテール・リスクに対する全般的なヘッジとして少し金をオーバーウェイトするのに良い時期だろう。


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