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ブラックロック 金は短期のインフレ・ヘッジではない:ブラックロック
2021年9月18日

資産運用の世界最大手ブラックロックのラス・ケステリッチ氏が、金の持つヘッジの効果にかかわる誤解について解説している。


私たちのポートフォリオで大きな変化があったのが金だ。
14か月前には私たちはかなり大きな金のポジションを有していたが、今ではほぼゼロだ。

ケステリッチ氏がBloombergで、コモディティについてコメントした。
同氏は原油相場については堅調が続くと予想するが、それ以外についてはそれほど楽観できないという。
そして、昨年は推奨していた金について、ポジションをほぼすべて解消していることを明かした。
その理由がとても興味深い。

なぜかといえば、私たちが金を主に株式リスクに対するヘッジと考えているからだ。
実質金利が横ばいか低下する環境で、それが機能する。
実質金利が少し正常化するとの見方が出てくれば、特に金というコモディティは2020年半ばほどには働かなくなる。

ヘッジ手段としての金を考える場合、当然何に対するヘッジであるかが重要になる。
尋ねられれば、多くの人は即座にインフレに対するヘッジ手段と答えるだろう。
ところが、ケステリッチ氏の考えは少し違う。
同氏によれば、ある変数によって効き方が異なってくるからだ。

「金はしばしばインフレに対するヘッジと考えられている。
それは間違いではないが、それはとても長いホライズンの場合だ。
数十年のホライズンであり、ほとんどのファンド・マネージャーの投資ホライズンをゆうに超えている。」

ケステリッチ氏は、金の持つインフレ・ヘッジ効果は長期的なホライズンで発揮されるものと考えている。

金(赤、右)とS&P 500(青、左)
金(赤、右)とS&P 500(青、左)

金価格は昨年8月にピークを打ち、横ばい、やや右肩下がりの傾向にある。
つまり、金を用いたヘッジにはいくらかコストがかかっていることになる。
この傾向は何によるものか。

金(赤、左)と米10年物価連動債利回り(緑、右)
金(赤、左)と米10年物価連動債利回り(緑、右)

言うまでもなく、実質金利が下げ止まったことで、金がピークアウトした。
実質金利の低下はドルにとってネガティブであり、金(ドル建て)にとってポジティブだが、それが止んだのだ。
長期の実質金利は-1%を割り込んでおり、これ以上の低下はなかなか見通しにくい。
足元の高インフレが落ち着いても、金融政策正常化で名目金利が上昇しても、名目金利には上昇要因となる。
裏返せば、金の大きな上昇は見通しにくい。
上昇しにくい資産をヘッジに使っても大きな効果は見込めない。

ケステリッチ氏は、現局面での短期的なインフレ・ヘッジは株式を用いるべきと提案している。

短期ならばおそらく、株式市場でインフレをヘッジした方がよい。
私たちは、キャッシュフローを生み出さない資産を保有するより、価格決定力のある企業の株式に投資することで短期的なインフレ上昇をヘッジしたい。
素材・工業・消費財セクターで、投入コスト上昇を売価に転嫁できる企業だ。


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