投資

金はもっと上がる、でも投資じゃない:ピーター・シフ
2020年9月9日

ユーロ・パシフィック・キャピタルのピーター・シフ氏がいつものように全力で金への強気をアピールし、ビットコインをこき下ろしている。


金はもっと上がる。・・・
ワールド・ゴールド・カウンシルは金がどこまで上がるかについて過小評価している。
その理由は、世界の中央銀行とりわけFRBが生み出すインフレの程度を過小評価し、米ドルが他の法定通貨や特に金に対してどれだけ価値を失うかを過小評価しているからだ。

シフ氏がロシア国営RTで、いつものように金に強気のスタンスを述べている。
同氏の商売には金販売や金ファンド運用もあるから、同氏の強気に意外性はない。
これだけなら誰も興味を示さないところだが、この日はシフ氏の徹底した世界観が伺われる発言があった。
その発言は司会者から、金について慎重な時はないのか、と尋ねられた時に始まった。

そもそも私は金地金を投資としては見ていない。
私は金を価値の保蔵、現金の代替と考えている。
だから、いくらか『現金』を持っておくことには常に意味がある。

アメリカ人がいつもいくらかドル現金(あるいは預金)を持っているのと同じような考えで、シフ氏は金を保有しているというのだ。
良くも悪くもシフ氏が只者でないことを感じさせる発言だ。
同氏は自身の考えの理由を簡単に述べている。

「特に資産価格が高い、株が割高、不動産が割高と考え、今買わずに後で買おうと思った時、どうやって購買力を保蔵するか。
金として保蔵することは歴史的に見てただ『紙切れ』に頼るよるはるかに良い結果だったと考えている。
最善の法定通貨でも、金と比べると乏しい実績しかない。
だから、金が何かを理解すれば、いつでも少し持つべきなんだ。」

シフ氏は以前から、ポートフォリオの少なくとも5-10%を現物の金に配分すべきと主張してきた。
声を大きくして主張する割には、配分割合は意外と低めなのだ。
しかし、シフ氏は今、特に金を買うべき時だと言っている。
その理由は、すでに触れたとおりだ:

  • 各国中央銀行の貨幣増発で法定通貨の価値が低下する。
  • 資産価格が高く、優れた価値の保蔵手段が必要。

つまり、強い通貨としての金をシフ氏は奨めているのだ。
一方、投資対象としては金鉱株にまだ上げ余地が大きいと話している。

「ウォーレン・バフェットがバリック・ゴールドを買ったのは正しい。
私も長い間保有している。
今後数か月・数年で金は上昇すると考えており、他にも今とてもよい投資先と思う金鉱株が多くある。」

ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイの第2四半期末の保有報告書では、カナダの産金会社バリック・ゴールドの株式が記載されている。
これが世のゴールド・バグ(金の熱狂的信者)たちを熱狂させた。
しかし、保有バリック株の時価は全体の0.27%でしかない。
それでも、ゴールド・バグたちは大喜びだ。
そして、金に明るいニュースがあると喜ぶのが暗号資産村だ。
金と同じロジックで暗号資産が買われる、次は暗号資産だ、となる。
まさに目くそ鼻くその世界である。

目くその側のシフ氏は鼻くそをバッサリ切って捨てる。

「最終的には、ビットコインは自重に耐えかねて潰れるだろう。
ビットコインは金の代替とはならないし、価値の保蔵にもならない。・・・
(ビットコインへの機関マネー流入は)ほんのわずかだ。
機関投資家・年金・基金が適切にインフレやドル安を心配するほどに、ビットコインよりはるかに金に資金を振り分けるだろう。」

シフ氏は、ビットコインをトレードしたければお好きなように、と上から目線だ。
同氏によれば、ビットコインより金鉱株の方がはるかにアップサイド・ポテンシャルがありダウンサイド・リスクが小さいという。
こういうところも目くそ鼻くそだ。

暗号資産村代表のゲストが、ビットコインにはブロックチェーン等関連技術の価値が付随している、と話した。
シフ氏は眉一つ動かさず、理路整然と論理の矛盾を指摘している。

これは、バブルの副作用の結果だ。
技術に価値があるからといって、必ずしもビットコイン自体がその価値を有するわけではない。
ビットコインは単なる投機的なデジタル・トークンにすぎない。

鼻くそは切り捨てられた。
では、目くそはどうなのか。

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が以前、金についてコメントしている。
現実も理論も大切にする教授らしいコメントだ。

「私は金はバブルだと思う。
しかし、ずっとバブルだった。
いくつか工業的用途があるが、基本的には数千年続く流行のようなものだ。 」


-投資
-, , , ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。