量的緩和がイールドカーブ逆転の主犯:バイロン・ウィーン

ブラックストーンのバイロン・ウィーン氏が、イールド・カーブ長短逆転とFRB利下げについてコメントしている。
米経済のリスクを承知した上で、それでも利下げは適切でないと話している。


今回のイールド・カーブの長短逆転は、長期側が短期側より下がることで起こった。
通常は、過熱した経済の中、インフレのためにFRBが引き締めを行い、短期側が長期側より高くなる。
しかし、今回は長期側から逆転が起こっており、状況が異なる。

ウィーン氏がCNBCで、今回のイールド・カーブ長短逆転の特殊事情を解説した。
イールド・カーブの長短逆転は確度の高い景気後退のサインとされてきたが、今回は例外の可能性があるというものだ。
ウィーン氏が指摘した事情を検証しよう。

米10年債(青)・2年債(赤)利回り
米10年債(青)・2年債(赤)利回り

確かに今回は2年金利がひっくり返しに上がったというよりは、10年金利がひっくり返しに下がったという印象だ。
なぜ、長期側が下がりにきたのか。

この原因は莫大な流動性の存在であり、流動性が、見通しが晴れるまでの居どころを探しているためだ。
過去10年間莫大なマネーが作られ・・・そのうちのいくらかが、市場の見通しが晴れるまで退避場所を探しているんだ。

年末・年初、市場に弱気の風が吹く中でも、ウィーン氏はぶれずに実体経済を見続けた。
結果、弱気予想が圧倒する中、同氏は強気予想を貫いた。
年前半、ウィーン氏は独り勝ちに近かった。


ウィーン氏は7月のFOMCの直前、利下げすべき理由はないと言っていた。
FRBの責務を完全雇用と低インフレと言い切り、それは実現されていると述べた。
FOMC後も、利下げすべきでなかったと語っている。

同氏の米経済に対する見方は変わっておらず、姿勢もぶれていない。
しかし、FRBはぶれた。
ウィーン氏は、ぶれぶれのFRBの今後を予想する。

FRBは市場に対してとても敏感であり、ドル高を心配している。
すでに1度利下げしたが、少なくともあと1回利下げすると思う。

ウィーン氏はさらなる利下げも不要とし、理由をいくつか挙げている。

  • 経済は良好。
  • 金利はすでに低く、利下げの効果は怪しい。
  • 株式市場ももはや助けを必要としていない。

もちろん状況はいつでも変わりうるとウィーン氏も認めている。
しかし、状況が変わりうるのは常のこと。
それにいちいち対処していては、際限のない刺激策が必要になってしまうだろう。
保険をかけるにも限度はあるはずだ。

ウィーン氏は、現状がどうなのかを強調する。

「ウォルマートやターゲットら小売りの売上を見ればわかる。
米国は70%が消費者の経済だ。
消費者は支出しており、失業率は低く、賃金は上昇している。」

ウィーン氏は単細胞なタカ派ではない。
すべてをわかった上で、それでも金融緩和は望ましくないと話している。
そのことは、いつかは訪れる景気後退についてのコメントでよくわかる。

誰も景気後退を望むわけはない。
もしも景気後退入りすれば・・・伝統的な手段で景気後退に対処することはできないだろう。
だから、政策決定者らは景気後退をなるべく後倒ししようとしている。


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