野口悠紀雄:仮想通貨がGoogleを破壊する

Share

早稲田大学ファイナンス総合研究所・顧問 野口悠紀雄氏は、仮想通貨がGoogleの「ビジネス・モデルを破壊する」と書いている。
仮想通貨の普及により決済コストが低減すればGoogleのアドセンス広告の収入が減少すると予想している。(浜町SCI)


まず、少しだけ解説しておこう。
Googleのアドセンス広告とは、ウェブサイトのオーナーがGoogleからの広告配信を受け自身のウェブサイト上に広告を表示させるものだ。
FPでも同広告の配信を受けており、例えば、ページ上部のバナー広告がそれである。
野口氏は週刊ダイヤモンドで、アドセンス広告をこう解説する。

「ウェブページの作成者は、ウェブの情報を有料で売ることができないため、広告にスペースを貸して収入を得ている。」

「広告収入型モデル」が支配的なのは「有料で売ることができないため」と説明されている。
「課金型モデル」が採用できなかったのは、「これまでの送金手段では、少額課金が難しかったからだ」という。
だから、仮想通貨の普及で課金にともなうコストが低減できればGoogleのビジネス・モデルが揺らぐというのだ。
面白い話ではあるが、どれほど現実味のある話だろう。


浜町SCIでは、昨年Amazon Kindle内で『ヘリコプター・マネーってなに?』と題するリーフレットを出版した。
顧客向けに配布した、原稿用紙に換算すると27枚ほどの短いリーフレットをそのまま電子書籍にしたものだ。
顧客向け配布物を無料で頒布するのもよくないという意味で有料にした。
価格が0.99ドル(100円余り)だったこともあり、思いのほか売れた。
発売からしばらくAmazonの経済書分野で1桁にランクされ続けたのは驚きだった。

その時の経験では、いくつかの貴重な発見があった。

  • 電子書籍は儲からない。
    価格を安くしすぎたのか、価格を安くするためにAmazonの取り分を2/3にまで引き上げたのが悪かったのか。
    しかし、原稿用紙27枚に対して100円程度という代金はリズナブルのように思える。
  • Google Adsense広告の方が儲かる。
    幸いFPは単価の高い広告に恵まれており、また、多くのクリックをいただいている。
    FPのブログ記事は1ページあたり原稿用紙2枚分を目安にしているが、この原稿用紙2枚に対する売上が意外に悪くない。
  • Amazon Kindleという電子書籍プラット・フォームはすばらしい。
    ピンはね率を下げてくれたらもっといいのは当たり前だが、そうでなくてもすばらしい仕組みだ。
    代金決済だけでなく、著作権が侵害されにくいよう電子書籍を配布する仕組みを提供してくれている。

野口氏は決済コストに注目して議論しているが、それはあまりにもマイナーな部分ではないか。
コンテンツを配信する側にとってチャレンジとなるのは決済コストではあるまい。
むしろ、コピーなどされないようどう配信するかであろう。
そこを提供しているのがAmazon Kindleだ。
もちろん、PDFで配信すると割り切ってもいいが、そうすれば何が起こるかは自明だし、そうだったらHTML(ウェブサイト)でもいい話だろう。

Amazonが電子通貨に対応するようになったら、Amazon Kindleが爆発的に伸びて、Google Adsense広告が激減するだろうか。
そうは思えない。
決済コストの要因はしょせん金の多寡。
それに対して配信プラットフォームは可・不可を分ける。

Share