国内経済 政治

野口悠紀雄氏:日本はソ連化している

金融緩和の弊害

日本経済の趨勢はどこにあるのか。
それがひどく低いところにあったとしたら、低い現実を持ち上げる必要があるのだろうか。
もちろん可能であればやればいいが、ゼロ金利制約や債務問題を考えればいつまでも継続できるものではないのも一つの現実だ。
ひどく低いところにあれば別の道を目指したかもしれないのに、一時しのぎに持ち上げれば、別の道を目指させない程度に一息つかせてしまう。
こうしたことも構造改革の妨げになりうるのだろう。


無理に持ち上げれば何が起こるか。
米国がドル高に耐えきれなくなったプラザ合意を思い出せば明確だ。
ドル安協調がなされ、さらに米国が金融を緩和すれば、輸出依存の構造にあった日本は円高で首が締まる。
そこで別の道を目指すという決断までには至らず、円高阻止のために金融緩和が続けられた。
それが株や不動産の高騰をもたらしたのが1980年代終わりのバブルだった。
バブル経済は内需を大いに盛り上げ、皮肉にも日本は内需主導経済への転換を果たしたとの錯覚にさえ陥った。

バブルの2つの原材料

1987年いち早く株式だけでなく不動産にもバブルが発生していると指摘した野口氏は、バブルの原因を別の確度から語っている。
曲がり角に来ていた間接金融の構造問題である。
「財政も含めた戦時統制体制」が硬直的な間接金融体制を温存してしまい、結果、「銀行は余ったカネを不動産投資に振り向けた」のだという。
1980年代後半とはカネ余りと金融緩和が共存した時代だった。

野口氏は現在がバブルであるかどうかには触れていない。
少なくとも1980年代終わりのバブルを知るものからすれば、今の状況がバブルとは考えにくい。
だが、1980年代のバブルから肝に銘ずるべき教訓が一つある。
バブルには主に2つの原材料がある:
 ・強烈な金融緩和
 ・過度な経済の統制
さらに言えば、当局は高圧経済やバブルを望んでいる節すらある。


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