野口悠紀雄氏:マネタイゼーションが50%インフレを生む

完成すればインフレ50%+連鎖反応が

野口氏は仮に


  • 日銀当座預金残高をすべて日銀券に変える
  • 物価がマネー・ストック(M1)に比例する

とした場合、インフレ率が50%になり、さらに連鎖反応でインフレが昂進すると試算している。

《50%のインフレとは、1ドル120円のドル円なら180円になるということ。
連鎖反応は困るが、これっきりなら悪くない。》
そう思うむきもあるかもしれない。
それこそ海外勢を中心に世にはびこるヘリコプター・マネー待望論だ。

騙されてはいけない。
円安で輸出に有利になるというのは、日本由来の資源(ヒト、モノ、・・・)を安売りすることに他ならない、
一方の輸入では海外由来の資源を高く買わされるのである。
この数年見てきたように、円安になっても輸出数量が伸びないのでは意味がない。
1ドル180円で国民生活を疲弊させることで本当に輸出数量が伸びるのか。
まずそれを真剣に考えるべきだ。

ミシシッピ会社の株を掴まないためには

ミシシッピ会社のスキームがうまく行かなかったのは、ミシシッピ会社のファンダメンタルズが株価に追いついていなかったからだ。
そのためには、ミシシッピ会社の業績が株価に見合うものであるか、保有する国債が価値のあるものである必要がある。
日銀に当てはめれば、


  • 日銀が資本コストに見合う利益を計上している
    または
  • 保有する国債が価値のあるものである

必要があるということになる。
この条件が満たされないと、ミシシッピ会社株式の化身たる日銀券の価値が揺らいでしまうのである。

変容する日銀の財務

日銀の2016年度上期の損益は、外国為替関係損益と債券取引損失引当金の負担で2,002億円の最終赤字となった。
為替は一時的で終わるかもしれないし、引当金は前向きな費用だから現時点で心配しすぎる必要はない。
しかし、日銀がマイナス金利の国債を買い入れていることを考えれば、決して楽観できるものではない。
前者の日銀の適正利益という条件は、決して計算できる条件ではない。

では、後者はどうか。
こう考えると、私たちの財布や銀行口座の中にあるお金の価値とは、日本政府の財政健全度の上に成り立っていることがわかる。
《通貨の価値が国の財政によっているなんて当たり前じゃないか》と言う人もいるだろう。
その指摘は正しいが、ものには程度がある。
仮に日銀が国債を買い入れていなければ、ここまで日銀券の価値が国債の価値に左右されることはなかったはずなのだ。


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