酸欠の金利環境:ビル・グロス

かつて債券王と呼ばれたビル・グロス氏の「Investment Outlook」が帰ってきた。


これは健全な状況なのか?
市場(や経済)は、酸欠の金利環境でいつまで息ができるのか?

グロス氏が自身のサイトで、マイナス金利政策を実施する日欧の中央銀行、世界で17兆ドルにも上るマイナス利回りの債券について自問した。

3月に引退した債券界のロック・スター、ビル・グロス氏。
今は推定15億ドルの自身の資産と家族の名を冠した慈善基金の資産を運用している。
グロス氏は個人のウェブサイトを開設し、かつて月次で公表していた投資見通しを再開した。

グロス氏が心配するのは債券市場だけではない。
超低金利が他の資産クラスへも及んでいると指摘している。

「観察者が、コスト・ゼロのキャリーがよりリスクの高い資産を押し上げる能力から議論しようが、学問的に単純なゴードンの割引配当モデル(これは実質金利によって決まる)から議論しようが、株価上昇とクレジット・スプレッドの縮小は、世界の利回りがゼロ近傍に近づき通過したことにより大きく影響を受けている。
私が保守的に見積もっても、2019年の株価の約15%の上昇はすべて、米10年債利回りが過去9か月で80 bp低下したことによるものだ。
2009年以来の米市場の200%の上昇の1/4は、おそらく同じ時期の実質米国債利回りの200 bpの下落に起因する。」

金利低下がリスク資産の価格を持ち上げてきたなら、金利が上昇する時には価格は逆回転するのだろう。
それは理論通りのなりゆきだ。
唯一不確実なのは、金利がこのまま低位にあり続ける可能性があるのかということだ。


株式の強気相場は各国中央銀行の追加緩和によって持続可能なのか?
たぶんNoだろう。

この点こそが、市場関係者の中でも見解が分かれる点だろう。
仮に持続不可能だとしても、その時がいつやってくるのか。
あと数年でやってくるのと、あと数十年もつのでは話は大きく違ってくる。
グロス氏の論点はどこにあるのか。

「それらおそらく優れた機関(各国中央銀行)の総裁や議長は賢くなり、ゼロ(またはそれ以下の)金利の悪い効果、文字通り小口預金者と大きな金融機関(銀行・保険会社・年金基金)から資産と負債を釣り合わせてくれる歴史的に『保証された』キャリーを得る能力を奪い、ヘアカットや倒産をも避けるための予定リターン上げるのを妨げる効果に気づき始めた。」

グロス氏の論点は金融抑圧にあるようだ。
預金者の金利収入が不当に奪われている。
イールド・カーブのフラット化によってロールダウン分のリターンが奪われている。
金融緩和の名の下、多くの国で実質金利がマイナスに留め置かれ、税金も合わせ、インフレさえカバーできない状態に預金者は長く置かれている。
その投資家が社会において重要な存在であればあるほど、金融政策への風当たりは強くなる。

じきにわかる。
相当な財政刺激策なしには、マイナス利回りによる経済と資産の加速は行き着いた可能性がある。
世界的に緩慢な経済成長、過去数年の2桁の市場価格上昇の終焉に備えよ。
抜け目のない投資家は、高利回りで配当が堅い株を持ち始めろ。


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