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選挙を経ても変わらないコト:ブリッジウォーター
2020年11月15日

ブリッジウォーター・アソシエイツでレイ・ダリオ氏らと共同CIOを務めるボブ・プリンス氏らが、米大統領・議会選挙の結果が見えつつある中、経済・市場の論点整理を行っている。


米選挙は多くの観点にわたりとても重要だが、現在経済・市場の状況を形作っている支配的な力が今後も支配的であり続けることも留意しておくべきだ。

プリンス氏らが自社のブログで、選挙後の世界経済・市場における主たる決定要因を再確認している。
同氏らが挙げた5つの要因は、もちろん全く選挙と関連してないわけではないが、選挙結果とは関係なく存在し続けてきたものでもある。

  1. ウィルスの影響: あと1年以上は支出・所得の全体的レベルと格差に大きく影響するだろう。
  2. 財政当局主導: 財政政策が中心となり金融政策がそれを支えるMP3が続くため、政府の能力・意思によって経済運営に差が生じやすい。
  3. 流動性の洪水: リフレの成功により現金が増え、貨幣の購買力は減っていく。
  4. 富の保蔵手段: 所得・支出の低下やMP3による貨幣価値低下のリスクを回避する手段が求められる。
  5. 西洋から東洋へ: こうした傾向は西洋+日本でより顕著であり、今後は経済力・資本が東洋へシフトするだろう。

要は、ブリッジウォーターがこれまで主張してきた世界経済・市場のドライバーがほとんど変わっていないといいたいのだ。

確かに米大統領選は重要なイベントだった。
しかし、市場の観点からすれば、どれほどのインパクトがあっただろう。
結局のところ市場は3月以降、ノイズ程度に政治に反応しながらも、基本的には強気を維持してきたように見える。

プリンス氏らのここでの結論は中国+アジアに目を向けろ、だ。
レイ・ダリオ氏をはじめとしてブリッジウォーターの中国推しは有名だし今始まったことではないが、もう一度耳を傾けておこう。
上記1-4の要因が、東洋においてはさほど深刻でないという。

後者の地域(中国+いくつかのアジア諸国)は世界の中で、経済活動の縮小を最小限に留めながらウィルスを封じ込めるのに最も成功した地域だ。
その結果、マネタイゼーションでファイナンスされる財政支援の必要が少なくてすんだ。
さらに、これら国々は投資家/貯蓄者であり、持続的な経常黒字の国であり、他国の資本に依存しない。

プリンス氏らの二分法の中では、日本はこちらのグループに入っていない。
日本は国際的な比較においては(理由は定かでないが)最小のパンデミックですんでいる部類だろう。
しかも、以前とは内容が変化しているものの経常黒字国であり、世界最大の債権国でもある。
なのにMP3に関しては世界の先を行く状態が続いてきた。

プリンス氏らは中国についてさらに2点を指摘する。

  • 主要国の中で唯一パンデミック前まで経済活動が回復した
  • 債券利回りがゼロ近傍にとらわれていない

経済回復のペースについては時間だけの問題かもしれない。
しかし、金融政策に余裕を残していること、裏返せば、投資家がまだ利回りを得られていることは決して小さな差ではないだろう。

プリンス氏らは、世界の経済力バランスが西から東に趨勢的・段階的にシフトしていくと予想している。

投資家はそうした変化を追うものだ。
実際のところ、ここまで読んできて、中国に資本規制がなかったなら中国の債券・為替に投資できたのに、と感じる投資家も少なくないはずだ。
中国が彼らのいう《自国の領土》で行っている多くの感心しない行動に眉をひそめながらも、投資機会を模索し続けてしまうのが投資家が往々にして陥る不道徳だ。
(実は、実体経済側はこうした道を数十年前から歩いてきている。)

プリンス氏らは淡々と将来を予想する。

すでに、中国と周辺のアジア・ブロック(香港、韓国、マレーシア、シンガポール、台湾、タイなど)は米国とユーロ圏を合計したGDPを有し、GDP成長では世界の大半を占めている。
趨勢的な生産性の見通しを勘案すると、このトレンドは継続するだろう。
そして長い間には世界の資本もそれを倣うだろう。

ブリッジウォーターについては今年、運用ファンド、特にピュアアルファの大きなアンダーパフォームをレイ・ダリオ氏が認めている。
一方、規模は小さいながらも中国ビジネスは順調で、2018年10月スタートの人民元建て中国オンショアファンドのリターンが年率換算で約22%と好成績。
これが注目され、9月に募集した2本目のファンドも約9億元を集め、中国での運用資産は17億元に倍増しているという。


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