アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、現在の米国株上昇の要因を解説し、株価についての見方を進化させる必要性を説いている。
利益、キャッシュフロー、ファンダメンタルズについて話してきたが、モメンタムは市場を他のいかなるフォースよりも強くドライブする。
今はフォースはAppleやTeslaと共にある。
買いのフォースが背後に存在する。
ダモダラン教授がCNBCで、現在の米国株市場を突き動かしている要因をモメンタムと言い切っている。
《バリュエーション学部長》と呼ばれることもある教授だが、市場がファンダメンタルズやバリュエーションだけで動くものでないことを十分心得ているのだ。
このモーメンタムに作用するものは何か。
5G対応のiPhoneがリリースされればさらに勢いを増すのか。
ダモダラン教授は冷静に答えている。
カタリストは両方向に働きうる。
常に良いカタリストであるとは限らない。・・・
現在、両社に対する期待は空高くにある。
前進があっても、それが市場の期待に届かなければ株が下がる傾向にあるのは、投資家なら誰でも知っている。
今はモメンタムで上がっているが、将来下がるかもしれない。
それでも、ダモダラン教授は「モメンタムに逆らうベットはしたくない」と話す。
これも多くの投資家が共感する意見だろう。
市場全体の株価水準が高すぎるのではないか、バフェット指標(時価総額:GDP)から見て高いのではないか、との問いに対しては、ダモダラン教授はいたって冷静だ。
私は時価総額対GDP比率を信じたことがない。
ウォーレン・バフェットがそれを好むことは知っているが、その指標に固執する意味がわからない。
そもそもバフェット指標には理論的整合性がない。
時価総額が対象とする上場企業は世界経済の中で事業活動を行っているのに対し、GDPは一国の経済でしかないからだ。
その国に上場する企業が外国での事業活動を拡大するにつれ上昇しても当たり前なのだ。
しかし、ダモダラン教授が指摘したのは全く異なる観点である。
テクノロジー企業には伝統的な指標が当てはまらないという。
テック企業は伝統的な利益指標の多くを形骸化し、それらを用いるとテック企業を過小評価するようになった。
現在、テック企業の最大の支出はR&Dで、それは資産計上されている。
だから、歴史を無視することなく過去の指標を見て、前世紀を盲目的に習い現在の市場に望んでも、永遠に様子見を続けることになる。