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過剰に用心している:ダン・ファス

Loomis Saylesのダン・ファス副会長が、コロナ・ショックの経済環境は第2次大戦時に似ているとして、将来のインフレについて警戒している。


私が歴史上で参考にしているのは、第2次大戦のための財政支出だ。
奇妙に感じる人も多いかもしれないが、当時、経済・社会が圧倒的なリスクに晒されていたため、軍事増強に財政を配分せざるをえなかった。

投資業界キャリア60年のファス氏がBloombergで語った。

今ほど年寄りの話が役に立つ時はないかもしれない。
若い世代には《今は昔とは違う》と言いたがる人も多い。
その一方で、50年、100年と遡ることで、奇妙なほど重要な環境要因が共通している時代に出くわすことがある。
コロナ・ショックは特異な経済危機だが、多くの識者が戦争に似ているとも述べている。
ファス氏もその1人のようだ。

また、圧倒的なリスクだったから、中央銀行が(財政出動と)協調すると言わざるをえなかった。・・・
戦争が続く限りそれが継続し、その後ゆっくり縮小した。
その後、朝鮮戦争が勃発すると、私たちはそれを支えた。
それが終わると、1950年代半ば以降ついにFRBは少し自由になった。

第2次大戦での戦費調達のコストを抑えるためFRBが長期金利ターゲットを実施していたのは有名な話だ。
これは今でいえば長期債買入れやイールドカーブ・コントロールと符合する。
大規模な財政支出が行われたが、戦時中、家計の消費は振るわなかった。
第2次大戦では米国はナチスや日本と戦い、今はウィルスと戦っているためだ。

ファス氏はこうした共通点を感じ取っている。
多くの人が心配を始めたという。

『待ってくれ、高インフレで終わることにならないか。』
大いにありうる。
流動性の拡大を見ると、それは至極もっともな心配だ。

財政・金融政策による流動性供給は、コロナ・ショックから人々を守るための当然の施策だった。
しかし、仮にワクチンが期待通りの効果を及ぼしたらどうなるだろう。
突如パンデミックは去り、経済は活動を再開し、人々は支出を始める。
過去必要とされた流動性は突如として過剰流動性になるかもしれない。
これが世界中で起こる。
経済が過熱し、マネーサプライが急膨張するようなら、朗報を通り越して危険領域になってしまう。
しかし、これを回避しようとすれば、別の問題が生じかねない。

「現在圧倒的なのは過剰流動性が市場を支え、連邦債務や民間債務のコストを低減しているということ。・・・
これがいつまで続くかはわからない。」

わからないことがファス氏を警戒させている。
現在の投資スタンスを尋ねられ、こう答えている。

率直にいって、私はかなり用心している。
おそらく過剰に用心している。


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