政治

通貨安誘導で最も非難されるべき国:ジム・ロジャーズ

ジム・ロジャーズ氏が、世界各国の為替政策についてコメントし、退任間際の米大統領に辛辣な皮肉を投げかけている。


歴史を通して、国に問題が起こると、政治家はいつも外国を非難する。
外国を非難するのはとても簡単だ。
肌の色、言葉、食べ物、服、宗教、みんな違うんだから。

ロジャーズ氏が豪Finance News Networkで、政治家の外国批判が往々にして責任転嫁にすぎない現実を指摘した。
米財務省が先月スイスとベトナムを為替操作国に認定し、トランプ大統領は中国が人民元を操作していると主張し続けていることに対してコメントを求められたものだ。
ロジャーズ氏はワシントンの動きについて、国民の視線を海外に逸らすことが主目的と話し、辛辣な現状認識を披露した。

「トランプ氏は決して自身の誤りを認めない。
米国史上、オーストラリアや世界どこの歴史上で見ても、最も賢い大統領だ。
だから、それが続いている。」

もっとも、他国に注文を付けるやり方は、程度は違えど、次政権でも続くだろう。
バイデン政権も、程度や対象に違いはあれど、多少の軋轢は辞さないだろう。
先月ベトナムが為替操作国に認定されたことがいくつか憶測を生んでいる。
米国は従来より細かく牽制球を投げてくるようになるのではないか、などだ。

ロジャーズ氏は、米国はこの問題について今や批判する側ではなく批判される側にあるはずと話す。

米国は為替操作を非難するだろう。
疑問の余地なく、オーストラリアを含む世界中の政府、そして米国が、今大量の貨幣増発を行っている。
誰か為替操作をしている国があるならば、それは米国だ。
米国は日本より、ほぼすべての国より、大量に貨幣を増発している。

ここで既視感を覚える日本人は少なくないのではないか。
リーマン危機が起こった時、米国は大規模な金融緩和で経済を支えようとした。
結果、ドル安が進み、それが米経済を下支えする一要因となった。
当時、日本経済は比較的健全だった。
そのため、日本は辛抱せざるをえなかった。
結果、大幅で急激な円高となり、いわば不況が日本に輸入されるような展開となった。
その後、米国がある程度回復すると、次は日本の番だった。
2013年よりの異次元緩和(の2012年時点での予告)が円高是正のカタルシスとなり、自律回復のタイミングにあった日本経済・市場は急反転した。

性質こそ全く異なるものの、リーマン危機もコロナ・ショックもある意味で《100年に一度の危機》といえなくもない。
そうした危機で、米国は他国には見られないような大胆な刺激策を(他国への影響はお構いなしで)打ってくる。
結果、経済はともかく、市場は力強く回復する。
経済は一見回復しているものの、刺激策に依存し続け、趨勢的停滞論さえ言われる不思議な状況にある。
しかし、ともかくも市場は力強く回復する。

今回少々不安なのは、これまでのドル円の下がり方が大きくないこと。
前回のように80円を割り込むような円高ドル安は予想されていない。
それはなぜで、将来どうなるか。
ここは将来、為替やリスク資産についての重要テーマになるかもしれない。


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